2017年6月23日金曜日

漫画感想 城平京 / 水野英多 天賀井さんは案外ふつう 4巻(最終巻)

天賀井さんは案外ふつう、最終巻を読んだので感想を。
面白かった。
なんともゆったり進みながら、最後はキチンと大団円。
どこか不思議な能力や人間性を持ちながら、それでもどこか実在感を持ちながら、ポジティブに前へ進む日々の描写は、なんともほんわか暖かい。
これこそ本当の日常系、と言ったところ。
3巻と本巻のあとがきを読むに、城平京先生としては不本意な流れが多かったようですが、「案外ふつう」というタイトルの着地点はステキでした。
真木と西陣先生の先生のラストは、虚構推理で紗季と九朗の別れと重なってしみじみ。
真木の両親が語る「なぜ物語が必要なのか」という話は、それだけで一つの物語になりそうないいお話でした。
水野英多先生の作画も安定して、萌えやデフォルメ、ささいな表情や、コマ割り演出など、かなりクオリティが高く、一見地味な本作を彩っていました。
スパイラルのコンビで織りなす物語としては少し地味で、売れれば無限に続ける漫画の世界で初めから短くまとめる前提のストーリーメイクはスッキリしていて感じはイイがやはりちょっと物足りない。
それでも、日常という世界を切り取って描くならこんな感じが案外いいのかもな、と思わせてくれる、しっとりといい作品でした。
またこのコンビで新しい作品が生まれることを祈って。
以上。

2017年6月22日木曜日

漫画感想 久米田康治 かくしごと 4巻


かくしごと、最新4巻を読みましたので感想を。
今回は、姫ちゃんにねだられて犬を飼い始める話が軸。
犬を飼うと決めてからの大人の浮かれっぷりと、姫ちゃんの犬を飼うための準備が可愛かった。

カラーページの未来編では、話が動き出そうとしているようす。先生や姫ちゃんのクラスメートなども現れて、果たしてこの物語に何があったのか。
アシスタントの彼が、漫画家ではなく実家の本屋を継いでいるあたりがなんだかリアルでしたね。
紙ブログは漫画家の老いの話や、アシスタントに来てくれない話が興味深かった。
特徴的なイラストと、家族モノ漫画らしい穏やかな空気、そして丁寧に調整された漫画家ネタ、カラーページの謎など、一冊の中にいろいろな楽しさがつまっていて、相変わらず素敵でした。
毎回、青を基調とした表紙が美麗でいいですね。
続きも楽しみにしております。
以上。

漫画感想 城平京 / 片瀬茶柴 虚構推理 6

虚構推理の漫画版、最新6巻を読んだので感想を。
原作小説、虚構推理-鋼人七瀬-のラストまでを描いています。
素晴らしかった。
この作品、理屈や説明が多い原作小説を上手く漫画化していて本当に読んでいてストレスが少ないですね。
流石に原作の最後にあたる、怪異の虚構を嘘を積み重ねて崩すシーンはセリフの嵐でしたが、随所で漫画ならではのステキな絵が挟まれてスムーズに読めました。
くだんを食った六花と九朗が互いを倒すために死に続ける様なんかは、漫画なればこそ狂気が増します。虚構の真相を突きつける推理のラストなんかも、漫画という情報量をコマ割りで調整する媒体だからこその演出が効いていてイイ感じ。
紗季や琴子のコミカルなやりとりも、イラストの変化で魅せてくれます。

なにより素晴らしかったのはエピローグにあたる部分。
紗季と九朗の別れ、そして九朗と琴子の愛情、このあたりの作画の構造なんかがかなりい素晴らしかった。細かい表情と、絵柄の使い分けが素敵。
コミカライズがかなりいい結果になったのは、作画の片瀬先生の城平作品への高い理解と、なによりこのキャラデザの良さだと思いました。

なにより嬉しいのは、これで完結ではないところ。
城平作品で小説の続きが出るのって、スパイラルの小日向くるみ以来? 本格ミステリ大賞をとったあと、講談社のサイトで冗談みたいな続編タイトルの話はしていましたが。ギロチン三四郎とか魔人ピノキオとか、本当に書いてくれたら読みたいけれど。
原作自体も伏線を張りつつ、六花の目的などは謎に包まれていましたが、それが漫画でついに明らかになります。
生まれながらの怪物、人間であったころから怪物を心に住まわせていた六花。そしてそれを止めるために生きる九朗。秩序の守護者である琴子。
城平作品に頻出する生まれながらの天才、才を持ちすぎたものの狂気や孤独、そしてその中に生まれる情と、札が揃っているいったところ。
世界の秩序と魔人、という構造は傑作・バンパイア十字界っぽいですが、永く素晴らしい作品になってくれることを祈るばかり。

続きも楽しみです。