2017年4月30日日曜日

ラノベ感想 林トモアキ ヒマワリ : unUtopial World 4

林トモアキ先生のヒマワリ4巻を読んだので感想を。
シリーズの各感想は3巻こちら1巻こちら
ヒデオに捕らえられたヒマワリへ、4年振りの邂逅を果たしたミサキ・カグヤの口から衝撃の事実が語られる。 「嘘です……、そんなのっ……!」泣き じゃくるヒマワリが知った真実とは果たして如何なるものだったのか? 世界が間違っていると怨嗟し、それでも勝負を挑んだ理由とは!? ミサキ・カグヤとヒマワリの運命が重なる時、 世界は新たな色に塗り替えられる。シリーズ最高潮――驚愕の急展開!!
面白かった。
前回、その正体を暴かれ川村ヒデオに捕らえられたヒマワリ。前作レイセンから登場する謎の少女ミサキ・カグヤ少佐の口から、ヒマワリとカグヤの正体が語られます。
断片的に語られていた通り、人類が機械に敗北し滅んだ未来からの来訪者だった二人。二人の語る誰も知らない未来から来た二人が出会ったからこそ、やらなければならないことがあるという結論は、なかなか面白い結論でした。
ついに始まった第二回聖魔杯本戦に挑む二人の姿が、いかにも林トモアキって感じて楽しい。制服姿のカグヤのイラストがいいですね。あと、ヒマ姫という名称はなんとなくエルシアを思い出したり。
テロリズムと自身の役割に取りつかれたヒマワリは、林トモアキ作品に共通する大きな力とその向き合い方みたいなところではまだまだ成長の余地があるというか、彼女がこれから士郎たちと再会してどんな未来を選ぶのか楽しみなところ。

一方でヒマワリを失った士郎とアリスは、ヒマワリを取り戻すために動き出します。
その前に立ちはだかった勇者に加護を与えるエリーゼの圧倒的強さが光ってました。レイセンから続く、『お・り・が・み』『戦闘城塞マスラヲ』でインフレしきった世界のキャラたちの圧倒振りが良いですね。貴瀬の再登場も嬉しいところ。
キリング・マシーンも再登場し、ついに精霊の庭が姿を現します。四大元素の精霊王との試練は、まあこれまでの作品で現れた試練からすれば新鮮味こそないけれど、ヒデオが精霊との関係で築き上げた信じ理解し捧げるということが別の形で表れていてよかったかな。
そしてなにより、前回から姿を現した二代目聖魔王にして我らが魔眼王閣下の活躍も嬉しいところ。眼光一つでロシア兵を引かせたり、未来の強化人間を警戒させたりしながら内心ビビっていたりと相変わらず。三柱の精霊たちに振り回されているようで何より。
前回の聖魔杯から五年でしっかり成長していて、ただの引きこもりだったはずが、いまや世界の謎を追うエージェントといった様子。マッケンリーへ啖呵を切ったイラストが悪役そのもの。

2017年4月23日日曜日

ラノベ感想 九岡望 『 ニアデッドNo.7 』

『エスケヱプスピヰド』シリーズの九岡望先生最新作、ニアデッドNo.7を読んだので感想を。
前作サムライオーヴァードライブがイラストレーターの炎上に巻き込まれて残念なことになってから約一年、待望の最新作です。
とにかく最高。是非是非多くの人に読んで欲しい。
目覚めた少年は、何者でもなかった。
“再葬開始”の合図と共に、いつの間にか持っていた火の粉を纏う刃を振るい、異形の敵を倒すのみ。
“境死者(ニアデッド) No.7”――赤鉄(アカガネ)。それが、彼に新たに与えられた名だった。
 なぜ自分は戦うのか――。No.6である美しき少女・紫遠(シオン)と共に、訳のわからぬまま死闘に身を投じる赤鉄は、やがてある事実にたどり着く。No.7の称号を持つ“先代”がいたこと、そして自分がその人物に殺され、No.7を“継承”したことを……。
 現代ダークファンタジー、開幕! ―電撃文庫公式サイトから引用―
とても良かった。
エスケヱプスピヰドから続く、喪って継承する物語。喪服姿の七人組がアンデッドと戦うという、わくわくが止まらない設定でエンタメど真ん中を突き進む傑作でした。
蘇った死者『境死者』が人を襲う亡者『外死者』を抹殺する『再葬』という設定がカッコいい。ネタ的には恐らく大槻ケンヂの再殺部隊や、その設定を使ったニトロプラスの凍京NECROが元でしょうかね。病院企業城下町での惨劇、というのはバイオハザードかな。
境死者は七人しか存在せず、境死者が愛する者を殺したときに継承が行われるという設定が哀しくて美しい。
サムライオーヴァードライブから続く刀剣アクションがクールで、記憶を失いながら狂戦士的な戦いを見せる前半と、継承された愛と魂のために戦う後半の対比もいい。
生き続けなければならない境死者は、死にぞこないながら戦い続けるためにその胸に愛を抱いている。という設定が心底好みで最高。
喪ってなお、受け継ぐ魂が胸にあるから、その愛のために負けない。少年漫画的な王道が、グロテスクな設定だからこそ輝く。このあたり上手い。
この巻のボスキャラである『鉄兜』の、残忍でありながらどこか騎士道精神を見せる姿が、敵でありながら武人というキャラクタで良い。彼の死に場所を求める、という姿勢はエスケヱプスピヰドから続く『死に場所を求める男たち』の姿で、ラストのセリフが切ない。

一方で萌えもしっかりしていて、パイルドライバー装備のゴスロリ美少女(猫好き)に巨乳引きこもり美女、ショタ老人にお姉さん系美女剣士と、ベタなラインの萌えやフェチがガンガンつまっています。
熱いアクションにしろ萌えにしろ、作者の好きなモノが詰め込まれている感じがいいですね。
ついでに、各章タイトルが楽曲名になっているのもオタクぽくていい。それぞれアムニージアック(レディオヘッド)、血の轍(ボブ・ディラン)、ミッシング・リンク(色々あるけどタイバニかな?)、汚れなき涙(THE BACK HORN)、リヴィングデッド・ビート(Children Of Bodom)、ネヴァー・ターン・バック(Crush40のソニックのやつ?)かな?

「だから、決着はまだここにいるオレ達がつけるんだ。生きるってのはたぶんそういうことだ」というセリフが最高でした。
相変わらずの作者の好み詰め込みまくりで、燃えも萌えも読み手の脳にガンガン響き、喪失と継承の物語が胸を打ちます。
最高でした。是非、続きが出ますように。
以上。