2016年6月29日水曜日

読書感想 秋田禎信 『 ハルコナ 』

新潮文庫nexから刊行された秋田禎信先生の新刊、ハルコナを読んだので感想を。

あらすじ
五年前、遠夜の隣の家に引っ越してきた、半径数十キロにわたり周囲の花粉を無害にし花粉症を街から消すかわりに自分には花粉が有毒になってしまう体質を持った少女ハルコ。花粉症を街から消すために外出しなくてはならないが花粉が毒になるため、宇宙服のような防護服を着なければならず介助が必要なハルコを、遠夜は五年前からサポートしていた。そんなある日、ハルコが階段から転落する事件が起きる。それはクラスメートを巻き込む事件へ発展する。



面白かった! 青くて苦い、青春小説。背表紙の圧倒的青春小説! の文言に偽りなし。
とにかく読んで欲しい。
マイベスト作家の秋田禎信最新作は、カナスピカと同じ文芸系青春小説。いつものような魔法やバトルはなし。いつものヘンテコな論理やとぼけたユーモア、奇妙な世界観やテーマは同じ。
結論としてはいつもの秋田禎信節である『距離感』と『受け入れて選ぶこと』なんでしょう。
甘酸っぱいさわやかな青春恋物語では全くなく、苦くて青くて痛みを受けるタイプの青春小説。しかしそれでも圧倒的青春ですから、読後感は苦みを持ちつつも爽やかです。
以下ネタバレ

2016年6月22日水曜日

漫画感想 久米田康治 『かくしごと 1巻』

久米田康治先生の最新作、かくしごとの一巻を読んだので感想を。
久米田先生の最新作は漫画家が主人公の漫画家モノ、しかも娘と父の家族模様も描く家族モノ、と流行りのジャンルが混ざりつつあまり久米田先生っぽくないジャンル。
しかしそこは久米田節全開で、既存のジャンルに埋没することなく、非常に楽しめました。
下ネタや猟奇ネタを封印し、漫画家モノだけど内輪ネタも控えめ、羅列や風刺も控えめ、と毒素は低いですが充分笑える。むしろとんがった部分を上手く隠して柔らかなギャグ漫画になっていて、誰でも楽しめるものになっています。
主人公の絶望先生的なノリやモテっぷりが楽しい。合間に挟まる娘との心温まる、緩やかで幸せな空気と単行本の前後にあるカラーで描かれる未来編がこの作品の結末を期待させます。
久米田先生の、絶望先生後半から続く線の少ない美麗なイラストが親子モノ漫画と親和性が高くていいですね。カラーの色使いといい、綺麗で見とれます。
画集も出ているし、さらに別作品も発表予定。今作のPVも公開中で、なんだか大盛況でファンとしてはありがたいところ。
続きが楽しみです。期待して待っています。
以上。

2016年6月4日土曜日

ラノベ感想 野村美月 楽園への清く正しき道程 庶民出身の国王様がまたご愛妾を迎えられるそうです

ファミ通文庫での野村美月先生の最新刊『楽園への清く正しき道程 庶民出身の国王様がまたご愛妾を迎えられるそうです』を読んだので感想を。

今回も面白かった。
今作『楽園への~』シリーズは、これまでファミ通文庫で出されている野村美月先生のシリーズでは『ドレスな僕は~』シリーズに近い感じでしょうか。
相変わらず大きな問題は起きない、悲劇はなくハッピーエンドという筋書きは変わらない、
今回のヒロインは近衛騎士のエヴァリーンと貴族令嬢のテレーゼ。
エヴァリーンに実家に結婚を決められ愛する王の下を離れることになり、ルドヴィークの結婚により王妃になるという目標を失ったテレーゼは自分のあり方を見失ってしまう。
犬猿の仲だったエヴァリーンとテレーゼは、人生を揺らすこの事態にどうするのか、といった最新刊。

エヴァリーンとテレーゼの友情が良かったですね。
お互いがお互いを思いあいながら、互いに嫌われていると思い込んでいる二人が、ルドヴィークとの交流を通して誤解を解いていく。
そんな二人に惹かれていくルドヴィークの心模様も、なんともさわやかでした。
一方これまでルドヴィークの恋を応援してきた王妃の心にも変化があって、といった波乱が起きたり。

続きが気になるラストでしたが、次回もさらに二人の花嫁が加わって、ルドヴィークが手に入れる七番目までがなかなかハイペースで埋まっていく感じ。
短いシリーズになるのでしょうか?

次も楽しみにしています。
以上。