ステラと一輝の一騎打ちの熱すぎる激闘にその後のシーンまで描かれた怒涛の9巻。まさに第一部完といった手加減出し惜しみなしの一冊が終わってなんだか落第騎士の物語が終わった風情もあった前の巻からしばらく間をおいての最新刊です。
アニメも激熱で素晴らし出来でしたね。
そんな最新刊は新章『ヴァーミリオン皇国編』の導入といった穏やかな一冊でした。
ステラを嫁にもらうために両親に挨拶に行く一輝の苦悩と波乱がメインでした。
国民全体が一つの家族として皇族とかかわるヴァーミリオン皇国、当然、可愛い第二皇女を素直に嫁にくれてやるわけもなく一輝には新しい苦難が、といったお話がほとんど。
ステラが皇族として背負い続けてきた国の姿を見せつつ、一輝が国民や国王に見せた告白は相変わらずかっこよかったですね。
謎だった月影総理の目的は、まあ予想通りというか未来視で見えていた絶望の未来の回避でした。運命を打ち破った一輝の存在に希望を託して、その野望はいい方向についえた感じ。
魔人とは何か、という説明で出てきた日本の魔人。寧々さんも魔人だったのね、というのは少し驚き。比翼への反応を見るに魔人ではないかと思ってました。
ステラの家族に受け入れられ幸せ絶頂の一輝。しかしこの物語が幸せな一輝を完結まで許すわけもなく、物語の終盤は次の戦いの幕開けです。
暁学園の平賀冷泉としてステラと戦った謎の男の正体が登場。人の心を壊すことに執心する≪革命軍≫最悪の魔人、《傀儡王》オル=ゴールがステラの心を壊すために暗躍を始めました。
新キャラの《傀儡王》はまさに『吐き気を催す邪悪』。
心を壊すために体を操って仲間を殺させてその上で死んだ仲間を屍姦させるという、あんまりな初登場シーンを決めてくれました。新キャラの残忍性を出すためだけに命をもてあそばれる使い捨て新キャラたちの哀れさ。作者の都合のためだけに犯されるってのも、嫌な話。
この作者、熱いシーンはどこかで見たような内容でも本当に熱くてかっこいいんですが、この手のシーンがとってつけたようで既視感バリバリでイマイチ。
一人の少女の心を奪うために一国を乗っ取り戦争を始める《傀儡王》のいかれっぷりがどれほど炸裂するか楽しみ。可愛らしい新キャラたちも、苦難を乗り越えた一輝たちもこれから不幸があると思うと気が重いですが、きっとその先はハッピーエンドでしょう。
いまだ未登場の《暴君》に、言及されたアメリカの魔人、一輝の魔人覚醒を見ていたエーデルワイス。まだまだ波乱が続きそうな物語、果たしてステラ対一輝を超える物語が来るのでしょうか。
続きも楽しみにしています。
以上。