2016年2月6日土曜日

漫画感想 横内なおき 『 宇宙のガズゥ 』

横内なおき先生の最新作、宇宙のガズゥを読んだので感想を。
サイボーグクロちゃんの横内なおき先生が十何年ぶりかのマンガを出すとなれば、クロちゃん世代の人間としては読まざるをえません。
元はpixivで五年くらい前に公開されていたマンガですが、書下ろしこみで単行本化。ナンバリングはされてませんが、売れたら次もでるのかな?

ストーリーは、今時珍しいスペースSFもの。人口増加により管理社会、階級社会となった宇宙船。下層民は人権もなく虐げられ、密航者は見つかり次第殺される。一方上層部の市民は贅沢をして暮らしている。居住権と食糧の配給を得るために密航者を排除する警備員となったガズゥ。しかしガズゥは強靭な肉体と鎧、厳つい見た目とは裏腹に優しいただの鼠だった。ガズゥはこの宇宙を生き残ることができるのか・・・
といった感じ。

非常に面白かった。
一ページ目から宇宙船のデザインが懐かしい。
人はバタバタ死ぬハードな世界で、優しいガズゥがどうにか生きていく姿が健気です。家族のために金を稼がないとならない中で起こる葛藤と、それでも命を救ってしまうあまsが暖かくていいですね。
シンプルで可愛らしいポップなキャラが、死と隣り合わせのハードな世界で生きるミスマッチ感が、クロちゃん時代に子供ながら感じたものとつながります。
シビアな状況下でちらりと挟まれるユーモアが、また横内なおきらしい。
ポーシャが可愛い。
謎はたくさん残されていて、死んだ目の上層部住民とか、謎の超技術星人とか気になる部分が満載。
是非売れて、次が出てほしい。

次があることを願って。

以上。

2016年2月1日月曜日

ラノベ感想 野村美月 楽園への清く正しき道程 1番目はお嫁さんにしたい系薄幸メイド

野村美月先生の最新刊、楽園への清く正しき道程の一巻を読んだので感想を。
ナンバリングは1ですが、0巻スタートなので第二巻。
ある日突然王様にされてしまった仕立て屋の青年ルドヴィーク。異国から嫁いできた王妃カテリナに恋をするが、彼女は国に残した片想いの相手が迎えに来るからとその思いを袖にされてしまう。それどころか彼女はルドヴィークの恋人探しのために城内で”お嫁さんにしたい子番付”を開催してしまう。番付で優勝した娘は国王様の寵姫として迎えられるという噂が広まり城内の娘たちはヒートアップ。そんな中ルドヴィークは、場内でいじめに遭っている侍女と知り合い、彼女を勇気づけるために魅力的に変身させることに・・・
ファミ通文庫での前作『吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる』が打ち切りになり、続く今シリーズの二冊目。
ヒロインたちが可愛くて、ひたすら甘くて面白かった。
王道ど真ん中のシンデレラストーリー。
望めば楽園(ハレム)の主にもなれ、一番目から六番目まで手に入る。しかしどれだけ愛し求めても七番目は手に入らない。と、予言されたルドヴィークの一人目の姫は、薄幸のメイド・ミーネ。
純朴で勤勉に働きいつも煤まみれのミーネを、ルドヴィークとカテリナが身分を偽って可憐に変身させるストーリー。
不幸な身の上で、城でもいじめられているミーネがルディとフロリンに出会い変わっていく過程は、甘くて楽しい。疎まれ続けてきた人生があって、目の前に現れた幸せを受け止められないミーネが、それでも懸命に思いを伝えるルディに応える流れは王道ながらしっかり甘くて美しかった。
一方でルディの恋を応援していたフロリンの心にも変化が現れました。恋を応援するうちに相手のことを知り気になって・・・というのも王道ですね。王道の甘さをストレートに描けるのが野村美月先生の魅力。
辛い過去を乗り越えてのハッピーエンドはやっぱりいいですね。
「国王様の特命騎士です」の台詞がやたらかっこよく決まってました。
このシリーズ、少なくとも七番目までは続かないといけないので、どうか続いてほしいと思います。こういった王道ラブコメはやっぱり必要だと思う。


打ち切りになった前作も月末に新刊がでるようで、そちらも楽しみ。
吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる ~Long Long Engageは部数を絞っての発売だそう。お買い逃しなく。
以上

ラノベ感想 林トモアキ ヒマワリ:unUtopial World 1

林トモアキ先生の最新作『ヒマワリ:unUtopial World 1 』を読んだので感想を。

シリーズの各感想は3巻こちら4巻こちら

あらすじは以下の通り
四年前に巻き込まれたテロをきっかけに、生きる意味を見失った少女ヒマワリこと向日葵。不登校に負い目を感じつつも最悪な日常を送っていたヒマワリの前に、生徒会長・桐原士郎と”ジャッジ“を名乗る謎の美女が現れる。彼らに巻き込まれ、都市全域を舞台に開催される何でもありのバトルゲーム”ルール・オブ・ルーラー”に参加することになる。ルールはなんでもあり、優勝者には世界を統べる権利を得る巨大バトルを前に、ヒマワリの停滞していた心が動き始める。
精霊! 魔法! 超能力! なんでもありのバトルロワイヤルに不登校の女子高生が挑む!
面白かった!
戦いに絡む金銭や戦いそのものを求める不良集団、カラードギャングを相手するのは不登校の女子高生。『精霊さん』という超能力を操るカラードギャングに対して、ヒマワリは何の異能も持たずに立ち向かう。
といっても知略戦略でどうこう、というモノではなく、単純にヒマワリが超強い。
体を金属化できる超能力者を罠にはめてヒールホールドで仕留める女子高生なんて初めて見た。
テロという理不尽な暴力に巻き込まれて世界が誤っていることを知り、生きる意味を見いだせなくなったヒマワリの思考がとにかく異常。自分の命を顧みず、ただ命を燃やす場所を求めて戦いの深みに潜っていく様はゾクゾクします。
心を喪い咲く意味を見失ったヒマワリに手を伸ばす、世界の支配者を目指す生徒会長・桐原がかっこよかった。
じわじわと変わっていくヒマワリの心が彼女の戸惑いと共に描かれていて、彼女がどんな答えを戦いの中で見出すのか楽しみです。
第一巻ということで、戦いはまだまだ始まったばかり。不良集団を倒し、次は更なる暴力の世界が待ち構えるはず。果たしてヒマワリは精霊を手に入れるのか、彼女のパートナーは誰になるのか。
ばらまかれたタブレットの出どころは? スズカの目的は? などなど、謎はかなり多い様子。

林トモアキ先生は全作品に繋がりがある上遠野浩平的な世界観で作品を発表してきた作家ですが、今作は新規読者取り込みのためリンクを控えてある、とブログで言っていた通り、これまでのシリーズを知らなくても楽しめると思います。
過去作品を知っていればいくつかのキーワードにニヤリとできるので、興味が湧いた方は過去作を探してみるのもいいかと。戦闘城塞マスラヲあたりが入りやすいでしょうか。
話のタイプ的にはお・り・が・みに近いかな?

林トモアキの作品を全て追っている身としては、レイセンで我らが聖魔王と魔眼王が手を組み世界を牛耳る黒幕たちに挑んだ第二回聖魔杯とルール・オブ・ルーラーの関係だとか、特殊事例対策局のメンツの活躍だとか、テロリズムという世界の過ちと出会ったヒマワリがその闇と立ち向かう勇者たちとであったらどうなるのだろう、とか。色々考えてしまいます。

とにもかくにも、新たに始まった新シリーズ、これから先が楽しみです。
以上