名作『スパイラル~推理の絆~』のコンビが送る最新作は日常系伝奇コメディという異色作。といっても異色作しか書いていない城平京ですから、今回は滅茶苦茶な設定がロジカルに展開される、わけわからないけれど面白いマンガでした。
あらすじは
かつて二匹の化け物が住んでいた伝説が残る常伊市。天賀井さんが転校してきた理由は、兄が犯人とされている十年前に起きた事件の真相究明のためだった。事件にかかわる二匹の化け物の調査を続ける中、真木正輝という少年の協力を得ることとなった。といった感じ。
ちょっと普通じゃない天賀井さんの秘密、真木の過去、街に散らばる化物の遺物、天賀井さんの兄が起こしたとされる撲殺事件の真相。いくつもの謎が交錯する中、天賀井さんの日常が始まった。
面白かった!
ネタバレしてしまうと台無しなギミックが多いので、ネタバレを踏む前にすぐに読んだ方がいい。
前作『絶園のテンペスト』、前々作『ヴァンパイア十字界』のような、超常現象が関わる事件にロジックで斬りこむ推理モノ。しかし今回はかなり空気がのん気で、殺伐としていた過去作とはちょっと違う感じ。あらすじにもあるように、日常系コメディの空気がつよいかも。
一方で謎は素早く展開されていて、一巻から情報量がすごい。
天賀井さんの特殊能力、お兄さんの姿、撲殺事件、真木の過去。
とどんどん矢継ぎ早に現れる奇妙なギミックと推理がコミカルでありつつも複雑な謎を覗かせていて真相が気になって仕方ない。
前回のテンペストに続き、今回はとある昔話。
まだまだ話の真相はわかりませんが(そもそも、主人公たちが秘密を明かさない、不公平な一人称的な構造だし)、きっと期待を裏切らないでしょう。
水野英多のキャラデザはかなり可愛く、理屈っぽい台詞の合間にリアクションなどでキャラを魅力的に見せてくれてます。
城平京は安心の城平節で、問題なし。
このコンビなら全く不安なく続きを待てます。
第二巻も楽しみにしています。
近く発売された講談社タイガの小説「雨の日も神様と相撲を」もお勧めです。