2015年11月28日土曜日

読書感想 - 森博嗣 『彼女はひとりで歩くのか? Does She Walk Alone?』 -


講談社タイガ文庫の第一陣配本の一冊。講談社タイガはラノベの読者層のやや年齢高めあたりに狙いを定めた、エンタメ系の一般文芸文庫といった感じで創刊された新しいレーベルです。講談社ラノベ文庫からさらに新レーベルで差別化がどうなるか気になりますが、配本予定のラインナップが90年代から00年代からムーブメントを過ごしたラノベ読みとしては見逃せない作家ばかり。

では森博嗣の彼女はひとりで歩くのか? Does she walk alone? を読んだので感想を。

科学が発展した未来世界、科学技術の進歩により長命を実現した人類は原因不明の出生率低下による人口減少に侵されていた。減少する人類はウォーカロン(Walk-Alone)と呼ばれる人口生命体を発展させ人口減少による社会の破綻に対応していた。技術の発展と共にウォーカロンと人間の差は微笑となり、容易に両者を識別できなくなっていた。研究者のハギリは、ある日命を狙われる。彼を保護する女性・ウグイによれば、ハギリの研究が襲撃の原因ではないかとのことだが・・・

森博嗣が描くSF小説。アクションや謎解きはあるものの、本編のほとんどは人口生命体ウォーカロンと人間の差は何か考え続ける研究者ハギリを通して、人間とは何かと問う物語。
人間と変わらない様に設計された人口生命体と人間の差は何か?両者を隔てるものはあるのか? そもそもそれらを区別する意味があるのか?
そういった重い問いが淡々と描かれているため、派手なアクションや重厚な謎解きを期待すると退屈かもしれない。
しかし、問いへのハギリの答えはいかにも森博嗣らしい決着であるし、人間性とは? 命とは? という問いの現在の社会への問いは考えて損のない話だと思う。
また、延々と続く淡々とした問への思考だけではなく、こちらも森博嗣得意の軽妙で意味のズレた会話も面白い。上手く読み進める上での清涼剤となっていたと思う。
森博嗣は作品内の出来事を全て解説しないタイプの作家であるので、色々とわからずもやもやが残る終り方ではあるけれど、タイトルである『彼女はウォーカロンなのか?(Does She Walk-Alone)』には一応の答えは用意されているし、読み終えて考えると色々とわかることも多いので、謎解きも楽しいかもしれない。

文体と世界観が好きなのでとても楽しめました。
シリーズものなので、続きを楽しみにしています。

漫画感想 あずまきよひこ 『よつばと! 13巻』

つばと! の最新刊を読んだので感想を。
二年以上ぶりの最新刊。
間はだいぶ空きましたが、いつも通り面白かった。
相変わらずよつばのメチャクチャな行動は笑えて、可愛い。今回はお化けを怖がったり、おばあちゃんと過ごして掃除を覚えたり。
前の巻あたりからじわじわよつばが成長している気がしますが、今回もその傾向が強かった気がします。何気ない日常が淡々と続く中で、よつばの人格が成長しているような、賢くなっているというか。
今回は長く名前だけは出てきて姿を見せなかったよつばの「ばあちゃん」が初登場。
他の大人登場人物と同じく、おしゃれでカッコイイ理想的大人なキャラクタ造形のまさによつばとの高齢者といった感じのキャラクタ。
登場シーンが妙にかっこよかった。
割とずぼらなとーちゃんの下で育っているよつばに、鳥の名前や料理や掃除を教えてあげる様子がほほえましくて、大人で、とても素敵でした。
あと、ばあちゃん登場でとーちゃんの名前が明らかに。ばあちゃんとのやりとりの中で、よつばとの関係性をちょこっと見直した様子。シングルファザー、しかも拾ってきた子供なわけで、子供と一緒にとーちゃんも成長するのがいいですね。
家が広すぎると考えたり、庭に何か植えようかと計画したり、車を買うかもしれなかったり、よつばを一人で寝かせようか考えたり、じわじわと次への伏線も張られている様子。なんとなく、よつばと!という物語が折り返しか曲がり角かに入っている感覚。
今回はほとんどばあちゃんとの物語でお隣一家の出番は少な目、ジャンボは未登場でした。
しかしいつも通りちょこっとの出番でも風香が可愛かった。猫を間違えるくだりとか。
あと、なんとなく風香の髪が伸びた気がする。

相変わらずの満足度。笑ってほっこりできて最高でした。
よつばと!のいいところは、ただのほのぼの感動日常で終わらせずに、ギャグも萌えもしっかりしているところだと思います。ハートフルはしっかり、でもあずまんが大王から続くギャグも切れ味鋭く、なところが最高。

さて、次はどのくらい先になるんでしょう。首を長くして待っています。