2015年11月28日土曜日

読書感想 - 森博嗣 『彼女はひとりで歩くのか? Does She Walk Alone?』 -


講談社タイガ文庫の第一陣配本の一冊。講談社タイガはラノベの読者層のやや年齢高めあたりに狙いを定めた、エンタメ系の一般文芸文庫といった感じで創刊された新しいレーベルです。講談社ラノベ文庫からさらに新レーベルで差別化がどうなるか気になりますが、配本予定のラインナップが90年代から00年代からムーブメントを過ごしたラノベ読みとしては見逃せない作家ばかり。

では森博嗣の彼女はひとりで歩くのか? Does she walk alone? を読んだので感想を。

科学が発展した未来世界、科学技術の進歩により長命を実現した人類は原因不明の出生率低下による人口減少に侵されていた。減少する人類はウォーカロン(Walk-Alone)と呼ばれる人口生命体を発展させ人口減少による社会の破綻に対応していた。技術の発展と共にウォーカロンと人間の差は微笑となり、容易に両者を識別できなくなっていた。研究者のハギリは、ある日命を狙われる。彼を保護する女性・ウグイによれば、ハギリの研究が襲撃の原因ではないかとのことだが・・・

森博嗣が描くSF小説。アクションや謎解きはあるものの、本編のほとんどは人口生命体ウォーカロンと人間の差は何か考え続ける研究者ハギリを通して、人間とは何かと問う物語。
人間と変わらない様に設計された人口生命体と人間の差は何か?両者を隔てるものはあるのか? そもそもそれらを区別する意味があるのか?
そういった重い問いが淡々と描かれているため、派手なアクションや重厚な謎解きを期待すると退屈かもしれない。
しかし、問いへのハギリの答えはいかにも森博嗣らしい決着であるし、人間性とは? 命とは? という問いの現在の社会への問いは考えて損のない話だと思う。
また、延々と続く淡々とした問への思考だけではなく、こちらも森博嗣得意の軽妙で意味のズレた会話も面白い。上手く読み進める上での清涼剤となっていたと思う。
森博嗣は作品内の出来事を全て解説しないタイプの作家であるので、色々とわからずもやもやが残る終り方ではあるけれど、タイトルである『彼女はウォーカロンなのか?(Does She Walk-Alone)』には一応の答えは用意されているし、読み終えて考えると色々とわかることも多いので、謎解きも楽しいかもしれない。

文体と世界観が好きなのでとても楽しめました。
シリーズものなので、続きを楽しみにしています。

漫画感想 あずまきよひこ 『よつばと! 13巻』

つばと! の最新刊を読んだので感想を。
二年以上ぶりの最新刊。
間はだいぶ空きましたが、いつも通り面白かった。
相変わらずよつばのメチャクチャな行動は笑えて、可愛い。今回はお化けを怖がったり、おばあちゃんと過ごして掃除を覚えたり。
前の巻あたりからじわじわよつばが成長している気がしますが、今回もその傾向が強かった気がします。何気ない日常が淡々と続く中で、よつばの人格が成長しているような、賢くなっているというか。
今回は長く名前だけは出てきて姿を見せなかったよつばの「ばあちゃん」が初登場。
他の大人登場人物と同じく、おしゃれでカッコイイ理想的大人なキャラクタ造形のまさによつばとの高齢者といった感じのキャラクタ。
登場シーンが妙にかっこよかった。
割とずぼらなとーちゃんの下で育っているよつばに、鳥の名前や料理や掃除を教えてあげる様子がほほえましくて、大人で、とても素敵でした。
あと、ばあちゃん登場でとーちゃんの名前が明らかに。ばあちゃんとのやりとりの中で、よつばとの関係性をちょこっと見直した様子。シングルファザー、しかも拾ってきた子供なわけで、子供と一緒にとーちゃんも成長するのがいいですね。
家が広すぎると考えたり、庭に何か植えようかと計画したり、車を買うかもしれなかったり、よつばを一人で寝かせようか考えたり、じわじわと次への伏線も張られている様子。なんとなく、よつばと!という物語が折り返しか曲がり角かに入っている感覚。
今回はほとんどばあちゃんとの物語でお隣一家の出番は少な目、ジャンボは未登場でした。
しかしいつも通りちょこっとの出番でも風香が可愛かった。猫を間違えるくだりとか。
あと、なんとなく風香の髪が伸びた気がする。

相変わらずの満足度。笑ってほっこりできて最高でした。
よつばと!のいいところは、ただのほのぼの感動日常で終わらせずに、ギャグも萌えもしっかりしているところだと思います。ハートフルはしっかり、でもあずまんが大王から続くギャグも切れ味鋭く、なところが最高。

さて、次はどのくらい先になるんでしょう。首を長くして待っています。

2015年9月27日日曜日

ラノベ感想 秋田禎信 魔術士オーフェンはぐれ旅 手下編


ふと感想を書こうと思ったら前回のブログ更新からやたら時間が開いていてビックリ。

さて、いよいよオーフェンの第四部も最終巻。寂しいったらありません。
当然面白かった。
ラノベの主人公が、中年になるまで描いてその若き日の決断の結末まで描かれるのはそうそうないと思います。
魔王オーフェンの物語は一つ区切られ、他のキャラクターたちの次の一歩が描かれていました。
絶望が待ち構える世界で、生きていくという事。どうしようもないものばかりでも、微かな希望をつかみ取る姿はやっぱり素晴らしい。オーフェンらしく、結末を描きながらもキャラクターの人生は続いていき、そして明かされないままのものも多く、またの再会を望まずにはいられませんが、かつて終了した作品がまた復活し新たな物語が描かれたその奇跡に感謝。

以下、ネタバレ全開なのでご注意ください。

最終巻ではありますが、タイトルの手下編の通り、物語のメインはマジク・リン。
魔王の弟子として本編を過ごして、その後第四部で現れ頃には、ハーティアの下で少年兵として使いつくされ原大陸で恋人を失った枯れ果てた姿になっていたマジクの第四部後の姿が描かれていました。
最強の力と世界への失望の中で死地を探すような姿で第四部を過ごしていた彼が一歩進む物語でしたが、これが最高だった。
コルゴンのように機能的に動くように見えて、彼のようにはなれないマジクの孤独な姿。
初めて見えた第四部マジクの内心がすごく良かった。オーフェンに憧れて、そこに近づくために生きてきて、しかし愛するものが守れなかった様が切なくて。
そこから向かい合うことをはじめたマジクの笑顔が、是非イラストで見てみたい。その時のクレイリーの顔も。

マジクの物語からの「私の愛したスーパイ」には笑いましたが、最終巻なのになんか普通の無謀編付属プレ短編みたいな物語で、他になかったのかと思ってもみたり。しかし、描かれてこなかった知人兄弟とマリアベルが登場したのは嬉しかったり

何より素敵だと思ったのはラストの『エピローグ』。
レティシャとフォルテの夫婦の話。次世代のはぐれ者となった二人の両親の夫婦喧嘩。
秋田禎信節の夫婦喧嘩と家族への愛が静かに物語の幕を降ろしてくれました。

なんとも名残惜しく、キャプテン・キースとか描かれていないもろもろも見たかったり、第三部書いてくれないかなと思ってみたりもしますが、これにて第四部は終幕。大変楽しませていただきました。

以上。

2015年6月4日木曜日

秋田禎信 『 血界戦線 - オンリー・ア・ペイパームーン - 』 感想

内藤泰弘原作、秋田禎信著の血界戦線ノベライズ版「オンリー・ア・ペイパームーン」を読んだので感想を。
ネタバレ全開かつ、原作と秋田禎信のファンなのでかなり偏った意見となりますので、お気を付けください。

2017/10/5 追記
ノベライズ第二弾『グッド・アズ・グッド・マン』の感想はこちら
追記終
「それで、どっちが私のパパ?」レオとザップの前に現れた少女、バレリー・バーマは自らを未来からやって来たザップの娘だと語る。突然現れた娘に混乱するザップをよそに、バレリーの未来予知を中心に、秘密結社ライブラは世界の未来を賭けた戦いに突入する。

アニメが(私にとって)大好評絶賛放送中の血界戦線がノベライズ、しかもノベライズするのがマイ・ベスト作家である秋田禎信先生ということで発表からこっちずっと楽しみにしておりました。
発売日に購入→一気読みは久しぶり。いやー、面白かった。
思いっきり秋田禎信なんだけど、きちんと血界戦線だった。

主人公がザップ、語り手がレオなので他のメンバーの活躍は少な目なんですが、K.Kはわりと出番多め、スターフェイズはやっぱり番頭としてカッコイイし、チェインはザップいじりがあって、ラストをきっちりクラウスが〆てくれるあたり、ちゃんとノベライズとしてのファンサービスはできていた印象。
ザップの心理描写をレオ視点でもあまり深く描かず、二人の会話の端々からそのキャラ掘り下げが伝わるあたり巧いな、と。
原作の魅力である、絶望的な相手を前にそれでも絶望せず立ち向かうライブラメンバーのかっこよさがしっかり描かれていて、それでいて秋田禎信作品らしく結末の余韻には寂寥感が漂う最高のコラボレーションだと思います。
どちらか一方のファンなら大満足できる作品のはず。
十年後の未来から現れた娘とザップの共同生活の中で、屑だけど面倒見はよくて戦士としては超一流、という複雑なザップのキャラクタが破たんなく描かれていて、色々なテーマや見どころがあるものの物語のメインは「ザップとはどんな奴なのか?」って感じじゃなかろうか。
最後の一行に示される通り、嘘も本当も関係なくザップはそういう人物であり、嘘も本当も関係なく、バレリーとザップの関係はそういうことなのだ。

タイトルのペイパームーンの意味は、親切に最初のページに書いてありました。作り物、まやかしの意味を持つ紙の月。しかし大切な人々との思い出を記録するものでもある紙の月。
バレリーとザップの何もかも作りモノだけれど、彼女が現れた日々が二人が一緒に過ごした日々を写すペイパームーンだと。解説するだけ野暮だった。。。

ラスボスへのクラウスの啖呵が最高にかっこよかった。最強の紳士たる名台詞でした。
苦悩するザップをそばで仲間として支えるレオも、亀の騎士っぷりが発揮されてました。
そして最後の、娘との別れのシーン。バレリーと自分との本当の関係を知りながら、それでも愛を持って彼女が未来へ帰れるように言葉をかける姿が、ザップらしくってたまらなかった。
このラストシーンの、別れが不可避で手も届かず姿も見えない隔たりが二人を割こうとも、お互いのことを信じていれば二人は二人のままつながっている、というクリアな感情の向き合いはまさに秋田禎信。ここに感動した人は是非、秋田禎信作品をチェック。手に入りやすい作品は最新作の『巡ル結魂者シリーズ』次いで『ベティ・ザ・キッド』でしょうか。

とにもかくにも、ノベライズとしてはかなりいい出来だったんじゃないでしょうか。

以下ひたすら長く感想をつらつらと。

2015年5月20日水曜日

マンガ感想 - 道満清明 『 ヴォイニッチホテル 3巻 』 -

道満清明先生のヴォイニッチホテル3巻(最終巻)を読んだので感想を。

結ばれたエレナとタイゾウ、腐っていくテネブラルム、最期が迫るスナーク、彼らの結末はいかに。
太平洋の小さな島を舞台にした奇天烈な人間たちの奇妙で残酷な悲喜劇も、ついに最終巻。

面白かった!
残酷で切なくて悲しくて、でもって下品だったり笑えたり。
どうしようもなかった人たちが小さな場所に集まって手を伸ばしあって、傷を負っても幸せを手に入れた物語。どこにもいられなくても、誰かの隣に居られるのは幸いだよな、と。
表紙の血塗れメイド服がなんとなくバッドエンドを彷彿とさせましたが、あっさりさっぱりしたハッピーエンドでした。

エレナとタイゾウがおそろいの姿で肩を並べる結末は綺麗で良かったんですが、なによりもスナークの最期がグッと来た。
狂ってどうしようもなくなったスナークが誤って堕ちるところまで堕ちて、だけど命を失う最期の瞬間に救われる展開は泣ける。

最終話が五年後の世界というのも、爽やかなラストを演出していたような。
テネブラルムと博士の緩やかな終わりが近づいていくような恋の結末が物悲しくてたまらない。
キカイ田がなんだかカッコ良かったのもなかなか。リーダーと二人、顔の左側に地雷の傷跡が刻まれて兄弟のような仲になって、そしてリーダーが警察官を目指すという流れはこの物語一番の希望にあふれていたと思う。残酷な中で、最後でリーダーの真っ直ぐさっぷりが心地よかった。

可愛らしい絵柄とグロい話でありながら、最後は奇跡のように幸せな結末になって、いやはや3冊のマンガを待つには長い日々でしたが大満足。
ラストシーンがマグノリアっぽいのも、なんだか不思議な物語の結末らしくていい感じでした。
すごく面白かった。3冊しかないし、ぜひ誰もかれも読んでほしい。

ニッケルオデオンも終り、ヴォイニッチホテルも終わってしまった。
また短編連作と長編マンガを出してくれることを期待して。

以上。

2015年5月9日土曜日

ラノベ感想 - 秋田禎信 『 巡ル結魂者 5(最終巻) 』 -

巡ル結魂者の最終巻、五巻を読んだので感想を。
山賊ハンドレッドスレイダースの首領・雪王ライガが死に、全てが解決したかに見えた矢先、突如その肉体を乗っ取り甦ったメイマスモゴリア。彼女は何者で、何が目的なのか・・・
といった波乱の幕開けの最終巻。

面白かった。いかにも秋田禎信らしいラスト。キャラの多さと戦闘のごちゃつき加減がわかりにくかったのと、物語のラストの詰め込まれ感からいまいちメイマスモゴリアの最期がわかりにくかったのがイマイチ。
恐らくテーマ的にはエンジェルハウリングと近い気がする。大切なのは信じることと距離感、というあたりが。やっぱり魔法使いの物語というだけあって、シャンクと共通するところもあると思うけれど。
エムニビシヨンが何故重要か、というのは面白かった。わけのわからないものがわけのわからないからこそ棘となってしまう。
特別で孤独な一人になるのに何もかも捨てることができるのか、という問題。シャンクのムーンウォーカーたちはその結果世界の外へ飛び立ってしまい、オーフェンは魔王になることを選んだ。

メイマスモゴリアは結局、サライへの感情なんかを捨て去ってしまったがゆえに、不安と向き合えずに自滅してしまったということなのかな? 皮肉で悲壮な最期だったと思う。

雪王ライガのアジトの暗号が物悲しすぎて、さらに残された手紙がいわゆる「かゆうま」で、好き勝手やった彼だとしても同情してしまったり。

一方でカズトとテイカの恋模様はやたらめったら甘酸っぱかった。
カズトはここではない世界から来た異邦者で、来た方法も帰る方法も理解できないがゆえに自分の所在を確立できない。そして賢いのでテイカが自分に向ける気持ちも、わかってしまう。
「好きだから。やめない」なんてラノベの主人公の少年の台詞じゃないよなとも思ったり。このあたりの胸締め付けっぷりにしびれた。こういう瞬間があるからこそ、秋田禎信作品が特別に好きなんだと思う。

あとがき曰く長めに続いたようですが、ファンとしてはそろそろ長編シリーズものを書いていただい欲しいところ。エコとかずいぶん今風の可愛いヒロインだったし、全然主流の作品を書けるはず。
どこまでもついていきたいので、次の作品も期待しています。
とりあえず来月発売の「血界戦線 オンリー・ア・ペーパームーン」に期待して。
以上。

ラノベ感想 - 林トモアキ 『ミスマルカ興国物語 12(最終巻) 』 -

林トモアキ先生のミスマルカ興国物語12巻、最終巻を読んだので感想を。
全てを裏切ったキラとエーデルワイスによって聖杯とマヒロは奪われ、突如大量発生した魔物が人類を蹂躙する。人類の行く末は、マヒロの未来は?
侵攻を開始した魔王軍を前に劣勢を強いられる人類を前に、聖杯の封印が解かれる・・・
といった最終巻。第二部堂々完結。いつも通り林トモアキ先生らしい大団円でした。
ちょっと広い物語を前提に描かれすぎて違和感や物足りなさにつながる所はあるものの、文句なしの完結でした。
同様に最終巻を迎えたレイセンがそうだったように、物語は人類そのものを信じること、善意を信じ手を取り合って前へ進むことがテーマとして真っ直ぐに押し出されていました。
円卓のメンバーが再登場したのは嬉しいサプライズ。結構みんな生きてましたが、みーこさんはボケちゃった様子。
聖杯の真実は思わず笑ってしまった。作品世界の誰もが、そしておそらく読者も(もしかしたら作者も)だましていた聖杯の正体は、まさにこの作品らしいというか。
本当に最後まで、言葉と策略のみで人類をまとめ、アウターまで従え、全てを終わらせてしまった。
エーデルワイスとの決着はらしくもあり、川村ヒデオの意志を継ぐ次世代の「人類を信じるモノ」としてふさわしい決着でした。物語のラストよりも、この二人の決着の方が胸をうちました。

最後まで理性を信じた蛇の物語。第二部堂々完結。

また次の物語を楽しみにしています。
以上。

2015年4月12日日曜日

漫画感想 - 内藤泰弘 『 血界戦線 - 妖眼幻視行 - 』 -

血界戦線の最新巻、10巻を読んだので感想を。
第一シーズン完結! ということでいつもより厚め。そしていつも以上に熱い。
紐育は異界に飲まれ、魑魅魍魎跋扈する異界と現世のまじりあう魔都ヘルサレムズロットへと変貌した。その魔都で世界の均衡を守るために日夜世界の裏側で戦う秘密結社ライブラ。
ライブラの一員として日々を過ごし、仲間たちからも認められ、対血界の眷属の要となる「神々の義眼」を持つ青年レオ。彼の下に、妹・ミシェーラから結婚の報告が届く。
動揺するレオの前に妹共に現れたのは、レオと同じく神々の義眼を持つ男・Dr.ガミモヅ。レオ以外の知覚範囲外に存在する不可知のガミモヅはレオに関わる全てを人質にとり取引を持ち掛けた。
といった第十巻。

神々の義眼とは何か? というところも明かされ、レオに神々の義眼を埋め込みミシェーラの死力を奪った存在の正体にも近づきました。
今回の見どころはレオの奮起でしょうか。妹ミシェーラの命、そしてライブラの他のメンバーの命まで人質に取られ、これまで守られてきたレオが戦わなくてはならない状況に追い込まれた今回。
超常の存在に一人で挑むレオの姿が良かった。
絶望の中に希望を見出し、そして立ち向かいまでの過程が一冊かけて描かれていて感動しきり。ミシェーラ、神々の義眼双方改善の見込みがない現状に絶望した冒頭と、超常存在に挑む決意をしたラストシーンの両方に現れる一巻でのクラウスの言葉の使い方が、さすが内藤泰弘。

そしてついに登場したミシェーラのキャラが良かった。
一巻で毅然と上位存在に啖呵を切った姿しか出ていませんでしたが、面白すぎ。障碍も奪われた眼も飲み込んだうえで、自分の持つ幸せを抱きしめている姿がカッコイイ。
レオの「亀の騎士」はなんとも感動的。
これがこれなもんで、は爆笑。

兄弟の再会と過去の姿が美しかった。

ラストは我らがライブラのリーダー・クラウスが見事に決めてくれてスゲー爽快なラストシーンでした。
次からは第二シーズン。楽しみです。

アニメも今の処良い感じ。オリジナル要素がどうなるか、が気がかりですね。
さらに六月に発売されるノベライズの作家が秋田禎信! 嬉しいコラボが楽しみすぎる。

以上。

2015年4月5日日曜日

ラノベ感想 - 築地俊彦 『 まぶらほ~じょなんの巻・じゅう~ 』 -

まぶらほの最終巻、じょなんの巻・じゅうを読んだので感想を。
本当に長きに渡り続いてきたまぶらほも最終巻。龍皇杯から読んでいたので時のたつのは早い物、感慨深い。一度連載が止まり、もう最後は描かれないのかとも思いましたが、ラストまで描かれて嬉しい限り。

和樹の娘を名乗る少女・ゆりあ。彼女は未来から若き日の父と母の下を訪れたといい、和樹にヒロインたちとのデートを迫る。和樹は女の子一人一人とデートをして、ついに彼女たちの思いにこたえることに・・・
といった最終巻。
ヒロイン一人一人とのデート、ヒロインからの告白、そして和樹の答えと続く流れ。
一人一人のヒロインからの告白に誠実に答える和樹の姿が、ハーレムものの主人公としてはかなり頑張ってくれて、好印象。
複数のヒロインが恋に破れて、それでも前へ進める姿はいいですね。
和樹が誰を選ぶか、はずっとそうだったので以外でもないですが、それでもしっかりかっちり良いラストシーンだなと思えたり。

メイドの巻が綺麗にまとまり、こちらの本編もきれいに終わりました。
なんだか感慨深い、長い歴史の学園ラブコメラノベの金字塔が完結を迎えて嬉しい限りでした。

2015年3月29日日曜日

舞台感想 アガリスクエンターテイメント 『紅白旗合戦』

サンモールスタジオでアガリスクエンターテイメント第20回公演「紅白旗合戦」を観たので感想を。

―――国旗と国歌で泥仕合 右も左もわからない
自主自律を旨とする自由な校風で学校行事を生徒が運営・企画する国府台高校。開催が目前にせまる卒業式もまた、生徒が立案したプランで準備が進んでいた。しかし式が目前に迫った2月末、突如学校側からプランの変更を求められる。
国旗掲揚国歌斉唱を求める教育委員会の求めに応じてプランの変更を求める教師側、突然の横暴に納得いかない生徒側。両陣営の決着は、生徒と教師の代表が行う連絡協議会に委ねられた。権謀術数、裏切りと謀略、主義主張に個人的事情まで荒れ狂う会議が幕を開けた。


「ナイゲン」「時をかける稽古場」「出会わなければよかったふたり」と続けて観てきてすっかり観劇マスト劇団となったアガリスクエンターテイメントの新作でしたが、どストライクで大いに楽しませていただきました。

2015年3月1日日曜日

ラノベ感想 - 林トモアキ 『レイセン File:8 ポイント・オブ・ノーリターン』 (最終巻)-

レイセンの最終巻、File:8ポイント・オブ・ノーリターンを読んだので感想を。
ついにレイセンも最終巻、戦闘城塞マスラヲから続く川村ヒデオの冒険がここに完結いたしました。

最高だった! 我らが魔眼王閣下に幸あれ!

といった感じ。急いで早売りを探して帰宅して読んだ直後なので、文章はメチャクチャでしょうがご容赦を。

ついに始まってしまったT-day、”組織”の襲撃を受けた人工島は火の海に沈み、人々は虐殺されていく。生きることの奇蹟、その幸いをマスラヲで知ったヒデオはその奇蹟を守るために敵の命すら奪わずにやってきた。その果ての結末として現れた惨劇を前に打ちひしがれるヒデオ、そしてそれをあざ笑うように”組織”の兵器が人の命を奪っていく。
組織の目的は? マックルの真意は? ヒデオは生き延びることができるだろうか?
といった感じの8巻最終巻。

平凡な優しいだけの男ヒデオがたどり着いた、力とのかかわり方への答えが素敵でした。
全体的にとっ散らかった印象で、放置された伏線も多数。さらに勢いだけでぼこぼこ出てくる新たな設定なんかも多くて、情報過多風呂敷広げ過ぎで最終巻というにはちょっと雑すぎる感じ。
惨劇を引き起こしたマックルとの決着、やっぱり正妻ポジションのウィル子の登場、そして川村ヒデオの物語の最後を飾る結末は素晴らしかった。
やっぱり、この川村ヒデオというキャラクターが好きでしょうがない。
負けても傷を負っても、それでも自分の答えを求めてもがき続ける優しい姿が好きですね。
彼の未来視がまた今回も誰の意図にも乗らない自分だけの結末を見つけ出してくれました。
どうやらまだまだ精霊サーガ、天界クロニクルは続くようで楽しみにしています。



これから先はネタバレだらけなのでお気を付けください。



2015年2月1日日曜日

読書感想 - カート・ヴォネガット 『タイタンの妖女』 -

タイタンの妖女 カート・ヴォネガット

ある日唐突にSFファンになろう、と思いぽつぽつ手に取った中の一つであるスローターハウス5を読んで大感動し、思わず手に取った。
淡々と、ゆっくりナンセンスなユーモアと不条理な展開が続いていく。退屈ではないが、さほど引き込まれない序盤。
しかし火星から地球に船団が旅立つあたりから展開が動き始め、このわけのわからない物語はどんな結末を迎えるのか気になってくる。
ウィンストン・ナイルス・ラムファードの目的がわかりはじめたあたりから引き込まれて一気に読んだ。
超然とした4次元の存在であるラムファードが人間性を見せるサロとの訣別、アンクとの別れはグッとくるものがあった。

美しいシーンが多かった。”すべてはたいそう悲しかった。しかしすべてはたいそう美しかった” ”単時的な意味でさようなら”

操られていることに反発し自由意思を手に入れるために戦う少年漫画的動きではなく、どうしようもないことだらけだけど、それでも人に意志があるのだという愛のある結末が美しかった。

やっぱり、ヴォネガットはいいなと感じる。

巻末の爆笑問題太田光の解説もよかった。きちんと解説してる解説は意外と少なかったりするので、こういった、ライトなSFファンかSF初心者でも入りやすい解説はありがたい。

次はまた別のヴォネガットと、別のSFを読もうと思う。

2015年1月8日木曜日

ラノベ感想 - 野村美月 『 吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる 3 』 -

野村美月先生の新刊、吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめるの三巻を読んだので感想を。
シリーズ3巻。いいペースでずっと出てくれるので野村美月作品はシリーズを追いやすくて助かります。
マイフェアレディを成功させ、役者としての人気をつけた詩也は学園内に複数存在する演劇部からファン投票で選ばれた役者で舞台を行う文化祭公演の出演者に選ばれる。演目は「とりかえばや」。美しい学園の名女優達に圧倒されながら、詩也は新たな役に挑む。
永遠に続く人生を生きる苦痛、思いを寄せる綾音との関係に悩み芝居に身が入らない詩也。苦悩する詩也の姿に、苦痛を理解できないことに心痛める綾音。そんな二人の間に、吸血鬼の澪が現れる。

なんだか演劇版文学少女になってきた。
謎解きの結末も二人の恋模様もただただ切なくてたまらない。
永遠の愛を誓った二人に訪れた永遠の終わりの儚さと、それでもその愛は確かに存在したという記憶の大切さ。互いが許し合う結末は切なくとも純粋な、また別の姿の永遠の愛で美しかった。
永遠の愛の一つの姿に出会った詩也の選択は確実に誤っているわけで、果たして彼がどうなってしまうのか。もどかしくてしょうがない。

そしてシリアスな物語の中で、偲がかわいかった。宝塚チックな演劇部の王子様として舞台でも学園でも男役を演じ続ける彼女の初恋の姿が、ベタと言えばベタなんですがすげーよかった。

次もその次も、出ることは決まっているようなので、楽しみにしています。
最近ガンガン本が出ているので、いちファンとして追いかけ続けたいと思います。

2015年1月7日水曜日

マンガ感想 - 水薙竜 『 ウィッチクラフトワークス 8 』 -

ウィッチクラフトワークスの最新8巻を読んだので感想を。
ウィークエンド戦を終え、多華宮君と火々里さんの失われた記憶を探るヒントを探す二人。前回の二人旅の終点は火々里さんの実家でした。そこで出会う二人の記憶は、といった8巻。
伏線の回収と次への謎が提示される巻でした。
子供時代の二人の関係が提示され、初めからベタ惚れだった火々里さんと多華宮君の出会いのきっかけなど放置されてきたいろいろがわかって満足。まだまだ謎が多く、今後には大いに期待。

二人の関係の展開としては、過去に近づいたりと色々あったり。何より、棗母を前にした火々里さんを追って喫茶店を出たあたりが関係性の変化でしょうか。
多華宮君は過去の修行の成果が出たりするんでしょうか、主人公覚醒みたいな。それとも、かつての力を使い果たして今、みたいなパターンか。

話の謎は置いておいても、今回はどのキャラも可愛かった。
火々里家への侵入に失敗し受けた拷問でしおれるタンポポとか、コスプレ凍子とか、子供時代の二人とか。
一番のハイライトは火々里さんの「変態ばかりね」ですね。
相変わらずのポップでキュートな世界観と、設定過剰な物語で楽しかったです。
物語はゆっくり確実に終局に向かっている感じで、果たしてどんな物語になるのか想像もつきませんが、次も楽しみ。

以上。