

巡ル結魂者の最新四巻を読んだので感想を。
秋田禎信の最新作、月末にはオーフェンも出るので嬉しい限り。
講談社ラノベ文庫だけあって、相変わらずのライトノベルっぷり。
ここ十年くらいで完成した感のある電撃文庫が主流に作り上げたラノベのテンプレートの王道ど真ん中をベテラン・秋田禎信が秋田節で創り上げた本作も四巻目。結構いいペースで出てますね。売れてたらうれしい。
ネタバレ含む感想なので、未読の方はご注意ください。
前作でハンドレッドスレイダースの襲撃を受け壊滅した学園に守備隊の必殺部隊が派遣される。一方、トアコの師匠にしてかつて雪王ライガと戦い学園と居住区を追放された最強のリンカ―大鍔ヤカガミ―が現れる。彼女はカズトを見定め、場合によっては殺すと宣言する。彼女の目的は、そして雪王ライガとハンドレッドスレイダースの次の一手は?
といった最新四巻。
最高!
全開の続きで大打撃を受けた学園に守備隊が派遣され、最強のリンカが現れと大波乱の展開。そして不可解な襲撃の真相を探るカズトが雪王ライガと再会するときどうなるのか。
とにかく展開が早く、シリアスが加速していき、そのくせ脱力するギャグは健在。バランスがいいですね。
ギャグシーンに上手く伏線が散っていて、話についていきやすいのは流石。
魔導書とは、魔法遣いとは、メイマスモゴリアの死後世界は何故今の姿になったのか、といった様々な謎がさらに深まっていった印象。
前回に続き次々と戦闘が起き人が死んでいく。まさか4巻でハンドレッドスが壊滅するとは。
世界の理から外れた自分自身に固執するライガと、理に飲み込まれているヤカガミ、そして唯一世界と断絶する立場にいるカズトがぶつかる結果がただただ悲しい結末でした。
ヤカガミが最期まで運命に従い、カズトに希望を託す姿は四巻の最高潮。
魔導書エムニビシヨンが重要なのは、この世界にとってのカズトやライガが運命から外れた
存在であるように、魔法使いにとってそういった位置にあるからでしょうか。
次への大きなヒキとなった雪王ライガのラストシーンを見るに、これからは物語の中心が異邦人カズトからメイに移るのでしょうかね。
シリアスの中で、まさかの告白シーンは驚きました。なんとなくフルメタを思い出したり。
あの一年はいる、という台詞の真意を語る姿から、テイカを思う心によってライガを殺す策を自ら崩すまでの流れは最高。策士で傍観者、そして部外者であるカズトがそうでいられなくなる姿は、人として正しいからこそ愕然とする気持ちがよくわかる。
さて、そんな感じで続きも気になる第四巻でした。
続きも楽しみにしています。
以上。