2014年7月9日水曜日

舞台感想 M&Oplaysプロデュース 『鎌塚氏、振り下ろす』

下北沢は本多劇場で鎌塚氏、振り下ろすを観てきたので感想を。
脚本演出・倉持 裕ということで、大変楽しみに観に行きましたが、期待通りの大満足な喜劇でした。
脚本家からキャストまで人気者ばかりということで、劇場のロビーには花だらけ。内村光良とか、片桐仁あてに浜田雅功夫妻から花もあったり。

舞台は不思議な世界観の日本、貴族院の最大派閥中之院派のトップ・中之院レイジロウ公爵は父の死と、貴族法改正のキーマンとなったことで神経衰弱に。そんな彼を支えるために女中頭の上見ケシキは「完璧なる執事」こと鎌塚アカシを屋敷に呼んだ。主のレイジロウは神経衰弱の末、居もしない使用人の幻覚をみていた。
レイジロウ公爵から貴族法改正の支持を取り付けるために屋敷に訪れた堂田男爵夫妻とその従者スミキチ、神経衰弱の主を守るため、鎌塚氏は完璧な執事である父を屋敷に招く、そして・・・

面白かった!

堂田夫妻役の片桐仁・広岡由里子の二人がまず濃すぎる。登場した瞬間に客席が湧いた。そして二人の濃さに負けないキャスト陣。ともさかりえがとにかくキュートで、ベンガルの飄々とした態度が面白かった。
これが第三弾だそうだけど、過去作を一切知らなくても十分に楽しめた。
屋敷がグルグルと回転して場面転換していく舞台装置が楽しい、そしてグイグイ進んでいくコメディがひたすら笑えました。
ハチャメチャなコメディの中身は、王道の父と子の話。
完璧な執事・鎌塚アカシは完璧だと思っていた父の本当の姿に戸惑い、分かり合えないまま父と死別したレイジロウは父のことが理解できずにいた。その二人が出会うことでお互いが父親と向かい合うという構成。

幻想の使用人と鎌塚氏とのバトルと、幻覚に殺される堂田男爵が特にツボ。
あと笑い転げたのは、突然歌いだすともさかりえと、幻覚を克服したレイジロウと宇佐スミキチのハグ。

「恨んでなんかいない、ふてくされていただけだ」という中之院レイジロウ(北村有起哉)の台詞は、なんというか、父と息子の関係をど真ん中から現した言葉な気がします。

結構いいセリフもあり、台本とか売ってたらよかったのにな、と。

ひたすら楽しく、幸せな気持ちになれました。誰もが幸いを手にした話でしたね。
第四弾があったらぜひ見てみたい。
以上

2014年7月7日月曜日

ラノベ感想 秋田禎信 巡ル結魂者3

秋田禎信先生の最新作、巡ル結魂者の第三巻を読んだので感想を。
結構速いペースで出ている本作、売れてるんでしょうか? 好きなのでじゃんじゃん売れてほしい。
今回も面白かった!

雪王ライガとの対決後、日常に戻ったカズトは独断専行の罰として守備隊を手伝うことに。守備隊隊長にしてテイカの父であるマサヤから山賊との内通者を学園内から探し出す任務を受けて・・・という第三弾。
前回のライガとの戦いのようなド派手なハチャメチャバトルから一転、今回はチーム戦で挑むハンドレッドスのリンカたちに対するカズトの孤軍奮闘な割合地味めのバトルでした。
それが悪いわけでなく、奇想天外なリンカたちの能力はそれだけで楽しく、膨大な力を持ちながら劣勢に立たされるカズト&メイの姿がそのままこの巻のテーマに繋がっているのはお見事。

前回が自分が異邦人であるがために鈍感主人公を演じるカズトであったなら、今回は鈍感主人公をやめる話。一冊で進むにしては展開が早すぎる気がしますが、これは秋田禎信だからこそか。
異邦人だという自覚は、カズトの冷静さと知性ゆえなんでしょうが、そのせいでもっと大切なモノを見逃がしてしまうのは彼が少年だからか。このあたりの、ラノベっぽさと人間的なリアリティの共存が、秋田禎信っぽくてステキですね。
ラノベっぽさといえば、リンカの少女たちがどんどんカズトにデレていくのがよかった。特にユーノがかわいかったかと。テイカはもう付き合った後くらいの悩みを抱えている気もする。
結局カズトの結論は「友達だと思うなら」なあたりもよかった。

ハード極まりないオーフェンの最終巻からそう間をおかずにゆるいファンタジーの本作が出たのは意外でしたが、読んだら確かに、この作品も緩い笑いやキャラに偽装されたハードなファンタジーでした。

三巻目にしてすでに学校壊滅の大乱戦。やはりテイカがずば抜けて強い。ノノメ先生の本気はガチで怖かった。カズトの機転は見事でしたが、何より見どころは雪王ライガと相討ちを狙える火力を持ちながらリンカの集団との戦いには劣勢になってしまうカズトとメイ。
異邦人と魔法使いという「はぐれ者」二人がチーム相手では負けてしまうのは、オーフェンから続く秋田禎信世界のリアリティ。

メイマスモゴリアの死後の世界の謎、カズトの手に刻まれた時計が何を起こすのか、ライガたちハンドレッドスレイダーズの目的は? と目を離せない。
次が楽しみです。