2014年4月17日木曜日

ラノベ感想 - 上遠野浩平 『 しずるさんと気弱な物怪たち 』 -

上遠野浩平の『しずるさんと気弱な物怪たち』を読んだので感想を。

「この世にあるのはごまかしだけ――――」
山の中にぽつんとある病院に謎の病気で入院する不思議な少女「しずるさん」と彼女のお見舞いに訪れる友人の「よーちゃん」は今日も不思議でグロテスクな事件の話をします。
なんと七年半ぶり! しずるさんシリーズの最新作です。
富士見ミステリー文庫から単行本での刊行を経て、星海社からの出版となりました。
出版社を変えての新装版としての刊行から、ついに文庫化されていなかった短編に書下ろしを加えた完全新作です。
雑誌を追いかけていない上遠野浩平ファンとしては、読めないモノと諦めていたので嬉しい驚き。
内容はこれまでのしずるさんシリーズファンなら大満足、上遠野ワールドのファンならさらに大興奮の一冊でした。
帯にはとってもミステリーでちょっぴり百合、とありますが、結構百合成分が大きい気が。
本質はミステリーではなく、その不思議な出来事に潜む社会のごまかしと、それを見抜くしずるさんと純粋でどこまでも正しいよーちゃんの会話劇。
誰もが目を背けるごまかしと、ごまかさないよーちゃんの対比が作者の言いたいことを代弁しているようで、相変わらず面白い。
優しさや弱さと強さの話は、上遠野ワールド共通のテーマなような。
よーちゃんが危険に突っ込むのを恐れたり、彼女のためだけに事件を解決しようとするしずるさんの我儘さがかわいくていいですね。
一方のよーちゃんも、しずるさんを理解して前へ進もうとする姿勢が健気。
世間を騒がす事件を通してひたすらイチャイチャするしずるさんとよーちゃんを楽しむ、いつも通りのシリーズでした。
他の上遠野作品とのリンクとしては、しずるさんの台詞の中にMPLSとは、のような部分があったり。ブギーポップに言及するところがあったり。
そして彼らがついに登場・・・
で、こっから先はネタバレなので未読の方はご注意を。




2014年4月16日水曜日

漫画感想 - 『 健全ロボ ダイミダラーOGS 1巻 』 -

テレビアニメ放送中のダイミダラー、シリーズ最新作を読んだので感想を。
アニメはあの内容が動いて声がついてってだけで馬鹿馬鹿しくていいですね。馬鹿なことをしようって意欲があるアニメは大好きです。
個人的には火星ロボのが好きなのであっちからアニメにして欲しかったり。

シリーズ最新作のダイミダラーOGSはまさかのシリアス展開。
ペンギン帝国とは異なる謎の殺人ペンギンが現れ、人々を惨殺し始めた。真玉橋・喜友名・リッツが手も足も出ず敗北し、人類は殺人ペンギンによって狩られていく・・・
突然のグロ展開と、凌辱寄りのエロ、相変わらずの馬鹿馬鹿しさがなんだかミスマッチで正直ダイミダラーの看板越しに読むと面白さがわかりにくい作品でした。あとなんか絵がコミゴミしてきて顔が怖い。
今作の主人公・南風原が出てきたあたりからいつものノリっぽく、楽しめたものの、こういった作品で本当の人死にがでると世界観がぶっこわれるというか。
もともと同人誌っぽかったのが余計に独りよがりな成分が上がっている気がします。
ちゃんとロボットものやりたいならそうすればいいし、ギャグならギャグでやったほうがいい気が。
同人作家が売れた流れを無視してストーリーやるとどうしてこう、エンタメになりきらないんでしょうね。
とはいえ、新主人公・南風原が出てきてからのノリはそれまでのシリアスがただのネタフリだったのかと思うほどのひどい展開。旧主人公たちから渡らされていく技の数々、という燃える展開がひたすら馬鹿馬鹿しくて笑いました。このノリがまさにダイミダラー。
こうなってくなら、いいのかな?
イマイチどうなるのかわからないモノの、次の巻を楽しみにしています。
以上。

2014年4月10日木曜日

ラノベ感想 - 西尾維新 『 終物語 [下] おうぎダーク 』 -

終物語の下巻を読み終わりましたので感想を。
ついに下巻。終物語も最終巻です。
大満足の下巻!
臥煙さんに切り刻まれた阿良々木君のその後を描いた「まよいヘル」ホワイトデーの阿良々木暦と戦場ヶ原ひたぎのデートを描いた「ひたぎランデブー」ついに描かれる忍野扇との対決、シリーズ最終話「おうぎダーク」の三本。
意外な扇の正体、張られた伏線の回収、ヒロインたちのその後、まさに最終回といえるサービスと興奮の最終巻でした。

全てのキャラクタがハッピーエンドを迎え、誰もが阿良々木暦と物語シリーズの元に綺麗に完結しました。化物語から10年、大団円で、追いかけてきたかいがありました。

以下ネタバレだらけなので、未読の方はご注意を。


2014年4月5日土曜日

ラノベ感想 - 林トモアキ 『 現役プロ美少女ライトノベル作家が教える!ライトノベルを読むのは楽しいけど、書いてみるともっと楽しいかもよ!? 』 -

林トモアキ先生の最新作、現役プロ美少女ライトノベル作家が教える!ライトノベルを読むのは楽しいけど、書いてみるともっと楽しいかもよ!? を読みましたので感想を。

これが本当の意味での『ライトノベルの楽しい書き方 』なんじゃないか?


老舗でありながら昨今のライトノベル界では電撃などの勢いに押され、同じく老舗である富士見ファンタジア共々メディアミックスの話題性なんかでも後塵を拝す形になっている角川スニーカー文庫の屋台骨の一つであり、さらにはデビューの同期受賞者が滝本竜彦(ex.NHKへようこそ! ネガティブハッピーチェーンソーエッジ)米澤穂信(ex.氷菓)長谷敏司(ex.円環少女 BEATLESS)といったビッグネームぞろいの、サイケでエッジで超バッド! あとがきという名の無法痴態でいやっほうしまくりな自称ザ・スニの問題児をなぜか自称するあの林トモアキ先生の描くラノベ書き方講座。

ライトノベル妖怪の京子サクリファイスがラノベに興味をもった女子高生たちにラノベの書き方を教える、会話だけでなりたつ短編連作。元は東方動画用に書いていたらしいですが、まあ世界観設定とか言われてみれば。
著者が主張している通り書き方講座ではなく、あくまで創作、ライトノベルの楽しさを伝えるといったもの。
かわいいキャラの日常会話(当然林トモアキ作品なのでろくな女じゃないけれど)を中心とした、日常系とも取れる作品でした。

面白かった!
いつものシリーズにある、バトルやメチャクチャな超展開なんかは当然なく、ただ女の子が会話しながらラノベの話をしているだけなのだけど。
書き方講座ではない、といいながら、ハウツー本には載せようのない、技術や心構えの根っこに存在する抽象的な部分が表現されていて、創作趣味のある人にはためになるんじゃないだろうか?

ハウツー本ではないながら、作品からひしひしと、林トモアキ先生の持っているであろう、創作を楽しもうとしている人たちへの優しさ、創作の楽しさ、ライトノベルの楽しさが伝わってきて読んでいてここちいい。と同時に、林トモアキもまた天才ラノベ屋の一人だよな、と思ったり。
毎話繰り返されるスニーカー文庫編集部へのダメ出しも、そのままそのものぐうの音も出ないほどの正論で面白い。内輪ネタっぽいが、これって外から見ていても十分わかってしまう程度なので笑えました。ミスマルカ公式サイトとか、ひどいもんだよね。

何より、オーフェンやスレイヤーズ、ラグナロクやトリニティ・ブラッド、ブギーポップといった時代から激動のハルヒ時代を通して未だにラノベを追いかけたいと思っている私のような読者からすれば、この作品にあふれている林トモアキ先生のラノベへの愛情はとても楽しい。

いつものシリーズ外ということでためらっている林トモアキファンや、ラノベのハウツー本としては格安の本作を買おうか迷っている人たちは、角川スニーカー文庫のサイトから全話読めるので試してみては?こっちならカラーだし(電子書籍版はカラーイラストらしいけれど)。
全話読んで書下ろしのためだけにお金を払っちまう林トモアキ信者は文庫も買ったりいいと思います。
文庫が発売されても制限なく連載が読めてしまうあたり、本作で言われている通り角川スニーカー文庫は商売が下手だよな。

林トモアキ先生初のメディアミックスってことで、本当にどっかのアニメ会社が作ってニコ動で配信したりしないかしら。