2014年2月27日木曜日

漫画感想 - 青桐ナツ 『 flat 8 (最終巻) 』 -


flatの最新刊(最終巻)を読んだので感想を。
この漫画、とてもいいのに微妙に話題になりつつも大きなブームにならなかったのが残念。読んだことのない方で、日常ゆったりモノ・子供モノが好きなら必読だと思います。
ついに来てしまった最終回。なんともさみしいものです。

いつもどおりのゆったりとしたお話のまま、スムーズに小さな事件が起きて小さな(子供にとってはしかし大きな)事件が起きて終わり。
日常を描く作品としては綺麗な幕切れなんでしょうが、同時にそれだからこそ、あっさりと物語とキャラクタがこちら側から離れてしまった感じ。
秋と平介はまた会えるかもしれないが、読者側は彼らとお別れなわけで、だからこそ大きな事件を経ない日常系の最終回はさみしい。

内容としてはいつも通りの展開といつも通りのラスト。
しかし、先輩が卒業したり進路を考えたり、ちらほらと彼らの時間が進んでいくことが見えたり。
個人的には大好きなキャラである長谷さんのバレンタインデーのエピソードが最高でした。
はたから見ているだけで楽しいし、それなら嫌われもしないし、といった安全な距離から一歩踏み出したことで得た喜びは、長谷さんの大きな財産になるでしょう。

古くは赤ちゃんと僕とか、最近ではもっぱらよつばととそのフォロワー的な立ち位置の作品ばかりな子供モノの漫画ですが、ありふれた子供視点のお話がありつつ、この作者独特の視点で描かれた毒のない不思議な人物たちのおりなすドラマが大好物でした。
どうやら新連載も始まるようで、この作者は追いかけていきたいなと思いつつ、とりあえずは平介と秋とのお別れがさみしいですね

以上。

2014年2月25日火曜日

ラノベ感想 - 西尾維新 『 終物語 中 』 -

終物語(中)を読んだので感想を。

特別な人間にはなれなくても、誰かの特別にはなれるでしょ

上下巻構成の予告が案の定、中巻が出た本作。まあ、物語シリーズが西尾維新の筆が進むままに出続けることはファンである私としてはなんの問題もないのですが。
全体的にまとまっていた印象。そして怒涛の伏線回収の一冊でした。
上巻もそうでしたが、終物語は結構、きちんと話が作られている印象。趣味性にはしって全く物語に関係ない無駄話があったりが憑物語周辺によくありましたが、今回はわりとギャグと本筋がつながっている気がしました。

キスショットや怪異が次々と同じ町に現れた理由。その原因である、キスショットの初代眷属が復活した、阿良々木君の前に立ちふさがって、というのが今回のお話。

ネタバレをしているので、未読の方は注意を。

2014年2月24日月曜日

漫画感想 - 水無月すう 『 そらのおとしもの 19 』 -

そらのおとしものの最新19巻を購入したので感想を。
雑誌連載ではもう最終話を迎えているそうですが、単行本もこの19巻と来月発売予定の20巻で終了の様子。
前回から引き続き終わりに向かってシリアスに続いていく中、一切おふざけなしで物語が進んでいきます。

最終話の感想はこちらへ。

ネタバレをしていますのでお気をつけて。

2014年2月20日木曜日

ラノベ感想 - 川上稔 『境界線上のホライゾン Ⅶ (7) 上 』 -

境界線上のホライゾン最新刊、7の上巻を読んだので感想を。
ついに七巻ということで、終わりのクロニクルを越えましたが、まだまだ続きそう。

小田原征伐を乗り切った武蔵。羽柴に勝利した六護式仏蘭西。それぞれ休む暇なく、P.A.ODAとM.H.R.Rを相手にした関東解放が開始される。
というわけで、休む間もなく次の戦争へ。これまでの交渉相手国から国へ移るのではなく歴史も戦国終盤戦に向かって急速に展開していきます。
もはや避けられぬ目前に迫った本能寺の変を前に、夏休み制度を利用したい羽柴がしかけたのは欧州最大の戦争・三十年戦争の歴史再現の使用。ということで関東解放だけでもやっかいなのについで起こる「ネルトリンゲンの戦い」の再現が起こることに。

様々な国との交流や対決を経て、武蔵の面々が事の始まり、KPA.Italiaと三征西班牙が三河へ来た理由などにたどり着くのは感慨深い。彼らの成長がついに世界に追いついたと、元信公の授業の成果が現れたと。
今回は現在の状況を作り上げた教皇総長の策略や、伊達を守る片倉君の策、うまいこと強国と距離をとっているフェリペ・セグンドの策、リベンジを挑む村上・元吉の艦隊運用、そしてラストを飾る相変わらず無茶苦茶な武蔵のパワープレイなど、意志と戦略が際立っていました。

欧州の歴史の覇道を突き進む六護式仏蘭西と聖連を押えた羽柴、それらを相手取る武蔵、と三つ巴の攻防が物語のクライマックスへ向かって突き進む感がでています。


7巻の大きな物語は、武蔵の面々ではなく、羽柴側の襲名者、細川・忠興。中二の少年が年上に惚れた女性を助けにいくという王道っぷりが、混迷する三つ巴の中でわかりやすくていいですね。自分の力の無さやいたらなさへの苦悩と、若さ故の未熟さがいいですね。
囚われの姫を助け、その失われる命に失われない意味をつける、王道展開が最高にかっこいい。

この巻で一番かっこいいのが、正純の世界への宣誓と毛利輝元の羽柴への啖呵。そして羽柴に皆がついていく理由がちらっと出てきたのもよかった。誰もが生まれた土地と状況に合わせて、それを導いてくれる良き理解者についているわけですね。
鍋島なんかが出てきたあたりでの、宗茂の決意もいい。
九鬼と村上の渋い男の艦隊戦も見事でした。地味すぎて、その後の侍女型自動人形搭載武神にかきけされた感もありますが。

そして6巻の終わりあたりからただよい始めた百合の気配がまさかその通りだったとは。
お互いを意識し始めてギクシャクする清正と正則が百合百合でなんとも。


そしてなによりメアリが可愛い。ここのところずっと可愛いメアリですが、恥じらいを覚え、恋心を自覚してひたすら可愛さが目立つイベント目白押し。点蔵が男気を見せるモノだからなおさらたまりません。

さて、いよいよ中巻から始まる関東解放。忠興は姫を取り戻せるのか、そして、ついに里見を背負う覚悟を決めた義康の戦いはどうなるのか、非常に楽しみです。

そろそろアニメの三期とか、決まらないのかな・・・

ホライゾンの感想は書いても書いても書ききれないのでまとまっていないもののここまで。
以上

これまでの感想はこちらに。

漫画感想 - 久米田康治 『 せっかち伯爵と時間どろぼう 』 -


『さよなら絶望先生』『じょしらく』の久米田康治先生の最新作、せっかち伯爵と時間どろぼうの1巻を読んだので感想を。
待望した!
帯の通り、ファン大望の最新作。紙ブログなんかで散々ぐちっても読者の前に帰ってきてくれる久米田先生。
さよなら絶望先生の完結からさほど間を置かず、じょしらく終了とともに始まった本作は、絶望先生と同様のギャグ漫画。
先生と生徒、ではなく今度は別次元の人間『上人類』であるサンジェルマン伯爵と、時間を無駄に過ごす人間の時只卓の異文化交流系コメディ。
絶望先生が徐々にキャラや世界観を広げて言ったのに比べて、本作はかなり早い段階から世界観が拡がっていきます。短命な上人類であるサンジェルマンの妹の命の期限の短さとか、かなり早々と条件が提示されていく気がします。すぐ終わるのかな?
ギャグの方は相変わらず、一個のダジャレやきっかけを元に広げて一話を作ってしまういつもの流れ。前田君が抜けたモノの、さほどギャグの切れは変わらず。
ちょっと下ネタが増えたかな? 乳首券も発行済。
一巻としてはそこそこでしたが、ギャグと微妙なラブコメがあまりかみ合っていない印象。あとは、絶望先生の魅力としてあった、多くのかわいいキャラと先生の関係性だけれど、こちらはまだ一巻ということでキャラ性も未開拓&キャラが少ないのでこれからに期待か。
これから絶望先生のようにどんどん女の子が増えていくのか? と思うものの、サンジェルマンの設定的にちょっとキャラは広がりにくい気がします。

付いていたカラーイラストがいい感じ。線がシンプルで、彩色といい、見ていて綺麗で好きです。
絶望先生から引き続いて、表紙の紙質も凝っています。電子書籍でなく現物を買い集める楽しみがでるのでこういった装丁は大好きです。

相変わらずの久米田康治先生といったところで、ファンの方は買ったらいいし、絶望じょしらくをアニメなんかでちらっと見ただけの人もまだ始まったばかりなので手に取ってみたらいいと思います。
以上。

2014年2月10日月曜日

ラノベ感想 - 西尾維新 『悲鳴伝』 -

 終物語-中-も読み終えていない内に境界線上のホライゾンの新刊が出てしまいました。なかなか積読が減りませんが、だらだら読んでいるうちに先に読み終わった悲鳴伝の感想を書きます。
発売日に購入後つみっぱなしだったモノを最近ようやく読み始め、読了。だらだらしている間に完結してしまった。

面白かった! 戯言で初めて西尾維新に出会った時のような、西尾維新らしさに再会した気がしました。

西尾維新最長巨編と名乗る通りの分厚さ。二段組みでこの分量はなかなかありません。個人的に二段組でこの厚さは京極夏彦くらいでしか経験したことがありません。
とはいえ、そこは西尾維新。会話の妙とスムーズな展開、軽妙な語り口で読む間はあまり長さを感じません。数冊前までの物語シリーズに散見された、本題がはいるまでの文字稼ぎのような冗長すぎる無駄話ややたら長い登場人物や状況などの説明がないのも、読みやすいポイントでしょうか。
シリーズの最初の一冊ということもあり、ひたすらに主人公の空々空が状況に飲み込まれて戦いに巻き込まれていく姿を描いているため、非常に展開がスムーズ。
そして物語シリーズやめだかボックスに代表される最近の西尾維新の、萌えよりのゆるさのようなものでごまかされた、西尾維新らしさ。物語やキャラクタのお約束に対する、現実に半歩踏み込んだような冷めたい姿勢がちらっと見えてよかった。
主人公の空々君がまたいい主人公でした。戯言遣いの別バージョンというか。きわめて冷めた感情を持つ彼が、サイコパスっぽい視線で世界をとらえて前を進む姿は主人公ながら少し怖い。
また、彼以上に人を殺したり非人道的なことをしまくっている壊れたキャラクタだらけなのも、彼の異常性を強調します。彼以外は全て、感情で動いているわけで。むしろ空々君以外のキャラクタは大人も子供も自分の欲にしたがって動いていたわけで。
一人称主人公が嘘をついていて、読者をだます構成の物語というものがたまにありますが、悲鳴伝は神様視点作者視点なところがある点もまた読者をだましている構成である気がします。
地の分によってキャラの考えが説明されるために行動の意味は決定されているのだけれど、物語の流れから読む側は、火達磨を倒したあたりから剣藤に好意があるように見える。実際はどうだろうか、という部分は想像するしかない。
そのあたりが、最後の孤独な結末をより印象的にしているように思えた。
誰もかれも周りの人間が死んでいき、そして最後に残った空々君の行動は、彼がそうなりたいと願った剣藤を抱きしめ返せる人間がとる行動ではなかったものの、それでも彼が誰かのためにとれた唯一の行動で、そのシーンだけで長い物語を読み終えたかいがある素晴らしいラストシーンでした。
英雄は孤独でなくてはならない、なんて言葉の通りの結末があまりに寂しく、異常性を抱える彼の孤独な結末は、まさに西尾維新の英雄譚といったところ。

とにかく面白かった。あんまり結末がきれいだったので、続きを読むかは未定。
以上。