2013年12月30日月曜日

ラノベ感想 - 秋田禎信 『巡ル結魂者 2』 -

秋田禎信の巡ル結魂者の2巻を読みましたので感想を。
『魔術士オーフェン』の秋田禎信先生の最新シリーズ、講談社ラノベ文庫からの秋田節炸裂異世界召還ファンタジー、巡ル結者の最新刊です。

あらすじ
ある日突然異世界への召喚され、世界最後の魔法使いメイマスモゴリアとともに異世界に暮らす事になった航斗。リンカと呼ばれる魔法技術を持つ少女たちが生きるその世界で禁忌とされる男のリンカとなってしまったカズトは...
といった前作。ドラゴンリンカであるテイカと親交を深めたりしつつ、リンカの学校での日々を過ごしていたカズトの前に、新たな任務が。街を狙う山賊・ハンドレッドスレイダースから、願いを叶えるアイテム<覚醒夢の箱>を守るという仕事だった。
再びカズトの前に現れる雪王ライガの真意は?
 
まず表紙を見て、メイの服のあんなざっくり背中が開いてたのか。挿絵もなんか角度的に全部見えてそうですよね。カラーページの秋田作品らしからぬ萌えなシチュエーションもいい。とてもいいですね。そしてカラーに登場したライガの恰好がひどい。裸ジャケットで山賊を率いる、それも構成員は女子ばっかってのはなんとも変態的で、悪役としての魅力以前におもしろくなってしまった。

さてそんなことはともかく、今回も秋田流最近のライトノベルといった風情でおもしろかった。不満点を先にあげれば世界の狭さとキャラの多さからくる退屈な流れや、理由はわからないけれど前作から感じる物語の入り込みにくさでしょうか。そこは一巻と変わらず。物語が大きく動き初めてからはかなりおもしろく引き込まれますが。
構成的には1巻と同じく最後にカズトがいいこといって終わります。
煽りの「異世界でモテる!?」ってのがいつわりなくって驚き。本当にもてるとはなー。しかしそこはわれらがカズトさん。鈍感難聴主人公のふりをしてスルーしました。
頭のいい主人公はいいですね。
ここから先ネタバレあり。未読の方はご注意。

2013年12月26日木曜日

ラノベ感想 - 野村美月 『 六条 ヒカルが地球にいたころ・・・・・・ 』

ヒカルの最新刊”六条”を読みましたので感想を。ネタバレあります。
「ヒカルが地球にいたころ」の第9巻。クライマックス直前の一冊です。
文化祭で帆夏と葵両方から告白された是光の下に、かつて恋した少女・夕雨からの帰国を告げるメールが届いて・・・といったところで終わった前回。
夕雨のそばに現れた一朱、という強烈な引きで終わった前回からさほど間をおかずに出てくれて助かりました。
そして物語の終了があとがきで宣言されたためにぐっと読む側としても終わりが見えてきたシリーズ、今回はヒカルの最愛や死の真相を巡る謎の解決ではなく、一朱との決着がメインでしたね。
是光を巡る女の子たちとの恋の結末も、その道が見えてきました。

物語としては、夕雨の帰国と同時に学園と是光の周りの少女たちに送られる怪文書メール。いつも通り彼女たちを守るために奔走する是光ですが、一人で全てを守ることもできず後手に回り続け、そして守られるだけでなく成長していく女の子たちに戸惑うことになってしまい・・・
初っ端からゲスさ前回の一朱さん、今回はずっと悪さをしっぱなしです。が、あからさますぎてこの人が黒幕っていうのはミスリードにもならないわけで、そこはイマイチ。ラスト直前で対峙する敵としてはちょっと不足かな?
一方で、前回これまでの物語を経て成長した姿を見せた是光を襲う恋の選択。ハーレムを創ることなんてできないなかで、告白した帆夏と葵、初恋の夕雨の間で揺れる心。そして揺れる是光とは別に、各々前へ進み変わろうとするヒロインたちの姿は、シリーズを追いかけるからこそ見られる成長の姿でぐっとくるものがありました。
一生懸命すぎる帆夏もいいですし、それにこたえるためについに告白を口にした是光もかっこいい。しかし何よりも、そんな是光を見守り、彼を好きだからこそ大きく変れた夕雨の姿に胸打たれました。
一朱との決着をつけるヒロイン勢揃いのシーンは、是光が動いてきたことで良い方向に全てが変った結果であり、これまでの彼の頑張りが彼を救い、それによってヒカル自身も救われていく姿が素敵でした。
そして何より、今回のラストシーン。
ついに明かされたメールの送信主”六条”の正体は、そりゃ犯行可能で一朱じゃなきゃこいつしかいないだろう、といった人物ですが、しかしだとしたら目的はなんなんだろう?
ヒカルの母・藤の花と一朱の母・バラの花。そしてメールを送り続けてきた”六条”のそれぞれの女の思惑とはなんなのか? なぜしーこをさらったのか? 最後の一冊で明かされるその真実は、途方もなく気になります。

面白いのですが、ちょっと、盛り上がりに欠ける気もしますね。予定調和すぎて。

最後に一朱さんの結末ですが、あれでいいのか?
変態のままだけど。そりゃ六条ってタイトルだし対応してるからそうなるんだろうかど。なんか腑に落ちない。是光らしい最後だけど、なんだかなー。
なんか一朱はかわいそうな人だけど、ちょっとひどい目に合わなすぎというか。まあ、彼がぼこぼこにされて終わり、では、是光の成長を描いた意味がないってのもわかりますが。
フルーツバスケットばりに主人公が優しすぎる気もします。

あとがきは前回と変わらず読者と作者の間の意識の祖語についての戸惑いが。確かに、騒ぎすぎというか思慮の足りない読者はいっぱいいるけれど、それに言及する作者って珍しい気もする。

本作の感想とは関係ありませんが、ヒカルが終わるということで前作・文学少女シリーズの最終巻を読み返しましたが、こんなに重い話だったか、と色々思い出しました。これにくらべるとヒカルはまだ、十分ラノベとしては重たい作品ですが、前作の文学少女シリーズよりは人間の情念や人の心の美醜が浅いかな、と思っていますが、結末はどう描かれるのか。
殺人を犯す人ばかりとはいえ、彼ら犯人キャラの迎える救いのない中でわずかにしかし確かに煌めく希望を残した結末を別である本作でも求めてしまうから一朱さんのオチが腑に落ちないのかもしれない。
文学少女で感じたあの救いのない結末の中に確かに残る心ふるわせる幽かな輝きのような読後感と、甘い救いに満ちたヒロインたちとの関係のようなものは得ることができるのでしょうか?
長く追うシリーズの結末が盾続いていますが、最終巻を覚悟して待ちたいと思います。

とりあえずすぐに次のシリーズも始まるそうなので、そちらも楽しみに待ちながら。
以上。


  • ヒカルシリーズ感想
    • 8巻 花散里
    • 7巻 空蝉
      • 関係ないけれど、7巻のアクセス数が現時点で460程度で8巻が90後半くらい。なんでこんなに違うんだろう?


P.S. ヒカルが好きなら文学少女シリーズも必読だと思う。

2013年12月14日土曜日

ラノベ感想 - 西尾維新 『 終物語 上 』 -

物語シリーズ最新作、物語シリーズファイナルシーズン『終物語 上』を読んだので感想を。
「おっぱいをさわらせてあげる」
アニメの出来がなかなか良くて物語シリーズへの熱がまたじわっと上がってきました。貝木がいいです。
さて本作は別冊少年マガジン誌で先行公開された短編『おうぎフォーミュラ』を含む三篇の短編からなる一冊。語り手は阿良々木暦です。
表紙の忍野扇が怪しげで謎めいていていいですね。

漫画感想 - 原作・河田雄志 作画・行徒 『 ヴァン・ヘルシング 1 』 -

ジャンプ改で連載中のヴァン・ヘルシングの一巻を読みましたので感想を。
原作&作画は学園革命伝ミツルギでおなじみの河田雄志&行徒の名コンビ。このコンビでは別の雑誌でドン・キホーテという作品を連載中。原作の河田雄志さんはWEB漫画で行徒妹とともに聖帝サウザーを主人公にしたギャグマンガ、北斗の拳イチゴ味を連載中です。
大忙しですね、このコンビ。
ネタ切れが心配ですが、だいたい昔から地続きで同じジャンルのネタをやっているので問題ないのかな?
恐らく日本漫画史上初めて聖帝サウザー様から帯の推薦文をもらった作品である本作は、シリアスな表紙とヘルシングというタイトルからは想像できないギャグマンガ。
ヴァンパイアハンターのヴァン・ヘルシングが、世界各地で人間を襲うヴァンパイアを倒していくという英雄譚。に見せかけたミツルギから続く河田雄志お得意の、コミュ障根暗ぼっちギャグ。
ラノベで流行ったぼっちギャグと違うのは、ちょっと業が深すぎることと、ラノベの場合には存在する救いとなるヒロインや友人やイベントが一切ないことでしょうか。
ミツルギファンなら相変わらずのノリなので楽しめること間違いなしの本作、ジャンプ漫画ということで初めて手に取った人も、なかなか他では味わえない徹底した根暗ギャグを味わってみたらいいと思います。
真面目でシリアスな世界観を保ったヴァンパイアと、コミュニケーションがぶっ壊れたヴァン・ヘルシングの掛け合いはなかなか笑えます。
友達はいないわ根暗だわ、しかも完全に自分が悪いのに全く反省するつもりがないヘルシングと、それに振り回される吸血鬼たち。人間を襲うヴァンパイアがめちゃくちゃヘルシングに振り回されて、最後には倒されてしまう残念な流れは脱力するしかないおもしろさ。

ミツルギやもぎたてアイドル人間なんかとは異なり、ボケが一人なのでめちゃくちゃ感は多少下がり気味? しかもシリーズとして展開を考えているのか、少し話に伏線があったりも。
妙にカルトな人気を出したミツルギ以来サウザーなんかも話題になってますし、ここらでアニメ化するくらい売れてほしいですね。次も楽しみにしてます。
おすすめ。
以前書いた、同じく連載中のドン・キホーテ 憂い顔の騎士の感想はこちら
以上。

2013年12月11日水曜日

漫画感想 - 極楽院櫻子 『 セキレイ 15 』 -

セキレイの最新15巻を読んだので感想を。
クライマックス突入も、微妙に不定期連載っぽい本作。前の巻はいつだったか。
結と結女が表紙。巻頭カラーの光と響が綺麗でいいですね。
で、鶺鴒計画最終戦。生き残った全ての葦牙とセキレイが神座島に集いました。
最後のバトルロイヤルを前に、色々伏線も回収され始めたり。
冒頭から佐橋と御中社長が初の直接遭遇。父親であることを知らない佐橋は、知らないまでもはっきりと父の前に自分の戦いに対する姿勢を見せます。かなり成長してますね。
でもって今回は、No.87鹿火と結と鴉羽の因縁の信実が明らかになり、ついに鴉羽と鹿火が対決します。
鹿火が葦牙と出会うまでの流れと鴉羽との対決までの流れは、佐橋たちのこれまでの流れを踏襲していて、一つの彼らがありえたかもしれない未来なわけで。より一層それが、鹿火の敗北を際立たせます。
鴉羽の戦闘狂っぷりもなかなかですが、だんだんと明らかになるのはその孤独感でしょうか。結との対決でどんな結末を迎えるのか。
皆人の下を離れた結&月海&松は瀬尾と対決します。瀬尾組がこれまでの鶺鴒計画で果たしてきた役割が明らかに。建人の遺した色々がイマイチどんな効果かわからないのが謎。
とりあえずの潰し合いを回避する策はリングアウト勝ちでしたが、これが戦況をどう左右するのか。
そして次回への引きとしては、佐橋+くーちゃん+風花+焔 対 氷峨組。そして真田組対御子上。
追い詰められた御子上と、衛星兵器の先制攻撃を食らう佐橋。
果たして、鶺鴒計画を制するのは誰か?
どんどん絵が綺麗になっていって、乳首が描かれてもあんまりエロくないですね。しかし、佐橋が男を見せた時の焔の表情はかなりよかった。
そろそろ完結ですが、結末が楽しみです。

以上。

2013年12月6日金曜日

漫画感想 - 内藤泰弘 『 血界戦線 8巻 - 幻界病棟ライゼズ - 』 -

血界戦線の最新刊8巻を読んだので感想を。
今回は、異界と人界双方の美食の粋を集めた究極のレストラン『モルツォグァッツァ』での、ライブラの面々とそのスポンサーの会食を描いた『王様のレストランの王様』と、HLに現れる幻の病院を舞台に3年前から続いたクラウスとスティーブンの血界の眷属との戦いを描いた前後編『幻界病棟ライゼズ』の三話で一冊。
一話のボリュームがけっこうありますね。
掲載雑誌の最新号までの連載分が載っているため、雑誌で読んでいる場合は本にまとめるのが早すぎる気も。

まあいつも通り面白い。当然のように面白いので、特に感想もないくらい面白かった。
長いスパンで物語を進めているタイプでもない作品なので、これまでのファンなら問題なく買いといったところでしょうか。
いつも通り、はったりを利かせた物語にしっかりたったキャラクター。さらに一発勝負のSFファンタジー諸々ごった煮のギミックと、いつもの面白さを見せてくれます。

各話の感想を。ネタバレありです。

2013年12月2日月曜日

ラノベ感想 - 石川博品 『 ヴァンパイア・サマータイム 』

ヴァンパイア・サマータイムを読んだので感想を。
現在真冬ですが、ふとお奨めされているのを見て気になったので購入。季節感まったく無視ですが気にしません。クリスマスに『夏への扉』を読んだっておもしろいものはおもしろいわけですから。
ネットでの評判を見て購入しましたが、その評判を裏切らない、なかなかよろしい恋愛ものでした。
久しぶりにいいラノベを読みました。やはり定期的に、いつも読む作者・シリーズ・ジャンルを飛び出してみないとダメですね。

さてさて、本作はラノベのラブコメには珍しく、一冊の中で恋の始まりから1段階の成就までが描かれています。
あらすじとしては、吸血鬼の女の子と人間の男の子が出会って恋する話。それだけなのにおもしろいのは、それはもう古今東西の恋愛ものがそれだけのことを盛り上げに盛り上げて一つの作品にするからですね。
くわしくあらすじを書くと、
実家でがコンビニを営む高校生ヨリマサは、今日も飲料の補充のために冷蔵スペースの裏に入り、商品を補充する。
ヨリマサはその暗い補充スペースから、いつも同じ紅茶を買っていく吸血鬼の少女を見つめていた。
その少女・綾萌とひょんなことから話すようになり、彼らの学校で起きた吸血鬼と人間の問題を解決しつつ、二人は距離を縮めていく。
吸血鬼の綾萌と人間のヨリマサの恋は、果たして実るか?