2013年8月22日木曜日

漫画感想 - 城平京・左有秀・彩崎廉 『絶園のテンペスト 特別編 第4回 左門さんのその日のその日』 -

発売から丸10日たってしまいましたが、ガンガン連載、絶園のテンペスト特別編第四回の感想を。
本誌ではついにソウルイーターが終わりました。最近、ガンガンよりガンガンオンラインのほうが追っている連載が増えてきた気がします。

ちなみに、第三回の感想はこちら。第二回の感想はこちら。第一回の感想はこちらです。
第5回はこちら(追記)。(追記)第六回・最終回はこちら

雑誌連載のため、そして話が後日談のため、本編のネタバレ及び未単行本化部分のネタバレとなっています。コミックス派の方はその辺りをご注意。

2013年8月20日火曜日

ラノベ感想 - 上遠野浩平 『恥知らずのパープルヘイズ』 -


これは、一歩を踏み出せない者たちの物語
上遠野浩平 VS GIOGIO!!
ラノベが現在の形になるきっかけの一人、ラノベの歴史の重要人物である上遠野浩平と、すべてのバトル漫画に影響を与えているといっても過言ではないジョジョとの対決ということで、これは読まねばなるまいと思いつつ黄金の風を未読だったため放置していました。
で、ようやく第五部を読み、恥知らずのパープルヘイズも読んだため 感想を。
第五部はジョジョでもトップで好きな部です。ラスボスがしょぼいとか、色々批判もあるようですが、一つの映画のような、一貫して主人公の行動を追っていくストーリーが非常に好みで、男たちの成長が非常に胸を熱くしてくれます。何より一つに絞られたテーマの上でまっすぐ進む物語は、いやおうなく心をふるわせますね。

でもって、本作、恥知らずのパープルヘイズですが、主人公はパンナコッタ・フーゴ。
猛毒の殺人ウイルスをまき散らすというとても主人公側とは思えない凶悪なスタンドの持ち主でありながら、たった一回の戦闘を最後に作品から退場し、それ以降最後まで(回想以外)登場しない不遇のキャラクタです。
しかし、ジョジ五部の公式スピンオフで五部の後日談を描くとすれば、こんなにふさわしいキャラもいません。
かつての仲間であり、そして裏切り者であるという特異な位置は、読んだ人誰もが気になる「お話のその後」を明かす役としてぴったりです。

あらすじ
第五部終了後。ディアボロを倒し、パッショーネを掌握したジョルノ。表向きは、ジョルノは初めから組織のボスであり、理由あって姿を現さなかったが内部抗争が起きたため表舞台に現れた、ということになっている。
しかしそれが嘘であることを知るフーゴは、ジョルノを裏切った恥知らずとして蔑まれていた。そんなある日、組織の幹部となったグイード・ミスタと対面する。ミスタはフーゴに一つの証明を迫る、組織に対して忠誠を誓っていることを示すことを。
フーゴはミスタの連れてきた組織のスタンド使い、シーラ・Eとカンノーロ・ムーロロの二人とともに、ディアボロの負の遺産である麻薬チームの壊滅を依頼される。組織への忠誠を示すため、フーゴは二人とともに麻薬チームを追う。
さて、以下は結末まで触れるためネタバレにご注意を。

2013年8月10日土曜日

ラノベ感想 - 秋田禎信 『魔術士オーフェンはぐれ旅 鋏の託宣』 -

そろそろ来る女神未来に向けて準備をしなくてはならないと思い、再読。
九月から読み返そうかと思いましたが、八月末には講談社ラノベ文庫から秋田禎信の新作『巡ル結魂者1 (講談社ラノベ文庫)』が出るので。

原大陸にアイルマンカー結界が現れ、カーロッタはついにオーフェンとの決戦を選択。そしてついに再度巨人種族を見捨てることにしたスウェーデンボリー。カーロッタと原大陸の貴族共産会との両者との戦いの中で、オーフェンは、そしてマヨールは否応なく世界の終局と対決する。

激化する戦いの中で、もはや避けきれない破局に突入してしまったオーフェン含め、かつてのはぐれ旅の登場人物たちが悲しい。
まして無謀編でバカやってたキャラクタたちがそれぞれ責任のある、原大陸社会の基盤をなす立場になってしまい、それぞれかつてからは想像できない人物になってしまっていることも、作品内で二十年以上の月日が経ってしまっていることを感じさせます。
血みどろで立っているのが主人公の条件と、かつてあとがきにありましたが、もうどれだけ血を流せばいいのやら。
でもって、逆に現在を代表する、今の世代のキャラクタたちは確かな成長を重ねています。このあたり、キリランシェロからオーフェンへそしてマヨールたちへと伝わる意思が感じられていいですね。ジョジョ的な、意志の受け継ぎ。長いシリーズだからこそできることですが。

新しいシリーズの顕著な点は、はぐれ旅と無謀編がミックスされたようなキャラ描写でしょうか。
バンドマスター鬼、とか。ジェイコブズあたりは特に顕著ですが、かつてのドラゴンマガジンにありがちだった、ギャグとシリアスの明確な分離というのがなくなり、エンジェルハウリングのような世界観になり、ベティあたりを経てこうなったとしたら、長く時を経てからの新シリーズというのもいいものですね。
そらのおとしものあたりがシリアスとギャグがぐちゃぐちゃな、かつてのガンガン系の匂いをいまだ引き摺る作品だと思いますが、これはまあ、例えばジェイコブズなんか、ふざけ倒している姿が物語の空気を換えるギャグシーンであると同時に彼の持つ世界観の描写にもなるという、これって恐らく並の技量ではできないことなのでしょう。

さて、長くなりましたが作品内の感想へ。

2013年8月6日火曜日

ラノベ感想 安井健太郎『アーク9 2 セフィロトの魔導士 (上)』



アーク9の第二巻を読みましたので感想を。
久しぶりに読書の記録をblogにあげられて幸い。先月はホライゾンくらいしか読めませんでした。脳の仕様が変わったのか、まったく文字が頭に入りません。

ラグナロクの安井健太郎ついに復活、といった(ごく一部の、歳をとりはじめた)ラノベファンの間で話題となった新作の続編です。
きちんとでて何より。
アニメと安井先生のインタビューの入った特典BDがついた特別仕様も販売されていましたが、私は経済的な理由で通常版をチョイス。

物語は前回から続き、またも大きな力の陰謀に巻き込まれる縁を追う物語と、縁の過去、幸せな仲間がいた時間を平行して進んでいきます。
縁の過去に何があったのか?
現在の縁には一つの依頼が。それは 、物質の消滅・再生を自在に行う超能力をもつ少女・アンジェラの護衛依頼。調べるうちに、縁はアンジェラを追う魔導士がかつての親友・ノエルであることを知る。

さて内容はと言えば、まったく相変わらずの安井節といえばいいのか、ハードでしかし軽妙な、堅実な物語が展開されています。
ラグナロクにあったような、どうしようもない運命に翻弄される男たちの生き様が、隙なく固められた物語の中で見えてきました。
いやはやおもしろい。これが初期の角川スニーカーを、ラノベというジャンルを支えていた一つの力ですね。
 以下ネタバレありますので未読の方はご注意を

あっさりとレベッカの変異がはじまり衝撃。彼女、どうなってしまうのか。
人間で無くなっていくなかで、それでも強く縁を思うレベッカの強さは、救いがない方向へ進んでいくこの物語の中で数少ない明るい要素です。
かつての親友との幸せな時間の中で、どうしようもない大きな力に 翻弄される縁とノエル。
強力な魔術の素養を持つが故に、決して魔術結社から逃れられないノエル。ついにノエルと縁がともにいたチームは、皆殺しになってしまう。まだ一人生きているけれど。
ノエルと縁、二人の親友が引き裂かれて憎悪を抱き合うさまは、ラグナロクの空気感がありありと浮かびます。
前回の対戦相手はサイボーグと怪物、今回は魔導士です。
物質喪失能力を持つ少女を狙う目的、世界を守るために築かれた壁の消失を願う物、そして研究所に置かれた謎の龍頭人の姿。
変異とは、その世界とは何か? 暗躍する謎の人物たち、増え続ける謎 、激化する戦闘、悲劇へ進む状況。
作者の確かな技術で作られた、最高のライトノベルです。おすすめ。

次巻も楽しみ。願わくば今回は、完結まで描かれますように。
以上。