2013年12月30日月曜日

ラノベ感想 - 秋田禎信 『巡ル結魂者 2』 -

秋田禎信の巡ル結魂者の2巻を読みましたので感想を。
『魔術士オーフェン』の秋田禎信先生の最新シリーズ、講談社ラノベ文庫からの秋田節炸裂異世界召還ファンタジー、巡ル結者の最新刊です。

あらすじ
ある日突然異世界への召喚され、世界最後の魔法使いメイマスモゴリアとともに異世界に暮らす事になった航斗。リンカと呼ばれる魔法技術を持つ少女たちが生きるその世界で禁忌とされる男のリンカとなってしまったカズトは...
といった前作。ドラゴンリンカであるテイカと親交を深めたりしつつ、リンカの学校での日々を過ごしていたカズトの前に、新たな任務が。街を狙う山賊・ハンドレッドスレイダースから、願いを叶えるアイテム<覚醒夢の箱>を守るという仕事だった。
再びカズトの前に現れる雪王ライガの真意は?
 
まず表紙を見て、メイの服のあんなざっくり背中が開いてたのか。挿絵もなんか角度的に全部見えてそうですよね。カラーページの秋田作品らしからぬ萌えなシチュエーションもいい。とてもいいですね。そしてカラーに登場したライガの恰好がひどい。裸ジャケットで山賊を率いる、それも構成員は女子ばっかってのはなんとも変態的で、悪役としての魅力以前におもしろくなってしまった。

さてそんなことはともかく、今回も秋田流最近のライトノベルといった風情でおもしろかった。不満点を先にあげれば世界の狭さとキャラの多さからくる退屈な流れや、理由はわからないけれど前作から感じる物語の入り込みにくさでしょうか。そこは一巻と変わらず。物語が大きく動き初めてからはかなりおもしろく引き込まれますが。
構成的には1巻と同じく最後にカズトがいいこといって終わります。
煽りの「異世界でモテる!?」ってのがいつわりなくって驚き。本当にもてるとはなー。しかしそこはわれらがカズトさん。鈍感難聴主人公のふりをしてスルーしました。
頭のいい主人公はいいですね。
ここから先ネタバレあり。未読の方はご注意。

2013年12月26日木曜日

ラノベ感想 - 野村美月 『 六条 ヒカルが地球にいたころ・・・・・・ 』

ヒカルの最新刊”六条”を読みましたので感想を。ネタバレあります。
「ヒカルが地球にいたころ」の第9巻。クライマックス直前の一冊です。
文化祭で帆夏と葵両方から告白された是光の下に、かつて恋した少女・夕雨からの帰国を告げるメールが届いて・・・といったところで終わった前回。
夕雨のそばに現れた一朱、という強烈な引きで終わった前回からさほど間をおかずに出てくれて助かりました。
そして物語の終了があとがきで宣言されたためにぐっと読む側としても終わりが見えてきたシリーズ、今回はヒカルの最愛や死の真相を巡る謎の解決ではなく、一朱との決着がメインでしたね。
是光を巡る女の子たちとの恋の結末も、その道が見えてきました。

物語としては、夕雨の帰国と同時に学園と是光の周りの少女たちに送られる怪文書メール。いつも通り彼女たちを守るために奔走する是光ですが、一人で全てを守ることもできず後手に回り続け、そして守られるだけでなく成長していく女の子たちに戸惑うことになってしまい・・・
初っ端からゲスさ前回の一朱さん、今回はずっと悪さをしっぱなしです。が、あからさますぎてこの人が黒幕っていうのはミスリードにもならないわけで、そこはイマイチ。ラスト直前で対峙する敵としてはちょっと不足かな?
一方で、前回これまでの物語を経て成長した姿を見せた是光を襲う恋の選択。ハーレムを創ることなんてできないなかで、告白した帆夏と葵、初恋の夕雨の間で揺れる心。そして揺れる是光とは別に、各々前へ進み変わろうとするヒロインたちの姿は、シリーズを追いかけるからこそ見られる成長の姿でぐっとくるものがありました。
一生懸命すぎる帆夏もいいですし、それにこたえるためについに告白を口にした是光もかっこいい。しかし何よりも、そんな是光を見守り、彼を好きだからこそ大きく変れた夕雨の姿に胸打たれました。
一朱との決着をつけるヒロイン勢揃いのシーンは、是光が動いてきたことで良い方向に全てが変った結果であり、これまでの彼の頑張りが彼を救い、それによってヒカル自身も救われていく姿が素敵でした。
そして何より、今回のラストシーン。
ついに明かされたメールの送信主”六条”の正体は、そりゃ犯行可能で一朱じゃなきゃこいつしかいないだろう、といった人物ですが、しかしだとしたら目的はなんなんだろう?
ヒカルの母・藤の花と一朱の母・バラの花。そしてメールを送り続けてきた”六条”のそれぞれの女の思惑とはなんなのか? なぜしーこをさらったのか? 最後の一冊で明かされるその真実は、途方もなく気になります。

面白いのですが、ちょっと、盛り上がりに欠ける気もしますね。予定調和すぎて。

最後に一朱さんの結末ですが、あれでいいのか?
変態のままだけど。そりゃ六条ってタイトルだし対応してるからそうなるんだろうかど。なんか腑に落ちない。是光らしい最後だけど、なんだかなー。
なんか一朱はかわいそうな人だけど、ちょっとひどい目に合わなすぎというか。まあ、彼がぼこぼこにされて終わり、では、是光の成長を描いた意味がないってのもわかりますが。
フルーツバスケットばりに主人公が優しすぎる気もします。

あとがきは前回と変わらず読者と作者の間の意識の祖語についての戸惑いが。確かに、騒ぎすぎというか思慮の足りない読者はいっぱいいるけれど、それに言及する作者って珍しい気もする。

本作の感想とは関係ありませんが、ヒカルが終わるということで前作・文学少女シリーズの最終巻を読み返しましたが、こんなに重い話だったか、と色々思い出しました。これにくらべるとヒカルはまだ、十分ラノベとしては重たい作品ですが、前作の文学少女シリーズよりは人間の情念や人の心の美醜が浅いかな、と思っていますが、結末はどう描かれるのか。
殺人を犯す人ばかりとはいえ、彼ら犯人キャラの迎える救いのない中でわずかにしかし確かに煌めく希望を残した結末を別である本作でも求めてしまうから一朱さんのオチが腑に落ちないのかもしれない。
文学少女で感じたあの救いのない結末の中に確かに残る心ふるわせる幽かな輝きのような読後感と、甘い救いに満ちたヒロインたちとの関係のようなものは得ることができるのでしょうか?
長く追うシリーズの結末が盾続いていますが、最終巻を覚悟して待ちたいと思います。

とりあえずすぐに次のシリーズも始まるそうなので、そちらも楽しみに待ちながら。
以上。


  • ヒカルシリーズ感想
    • 8巻 花散里
    • 7巻 空蝉
      • 関係ないけれど、7巻のアクセス数が現時点で460程度で8巻が90後半くらい。なんでこんなに違うんだろう?


P.S. ヒカルが好きなら文学少女シリーズも必読だと思う。

2013年12月14日土曜日

ラノベ感想 - 西尾維新 『 終物語 上 』 -

物語シリーズ最新作、物語シリーズファイナルシーズン『終物語 上』を読んだので感想を。
「おっぱいをさわらせてあげる」
アニメの出来がなかなか良くて物語シリーズへの熱がまたじわっと上がってきました。貝木がいいです。
さて本作は別冊少年マガジン誌で先行公開された短編『おうぎフォーミュラ』を含む三篇の短編からなる一冊。語り手は阿良々木暦です。
表紙の忍野扇が怪しげで謎めいていていいですね。

漫画感想 - 原作・河田雄志 作画・行徒 『 ヴァン・ヘルシング 1 』 -

ジャンプ改で連載中のヴァン・ヘルシングの一巻を読みましたので感想を。
原作&作画は学園革命伝ミツルギでおなじみの河田雄志&行徒の名コンビ。このコンビでは別の雑誌でドン・キホーテという作品を連載中。原作の河田雄志さんはWEB漫画で行徒妹とともに聖帝サウザーを主人公にしたギャグマンガ、北斗の拳イチゴ味を連載中です。
大忙しですね、このコンビ。
ネタ切れが心配ですが、だいたい昔から地続きで同じジャンルのネタをやっているので問題ないのかな?
恐らく日本漫画史上初めて聖帝サウザー様から帯の推薦文をもらった作品である本作は、シリアスな表紙とヘルシングというタイトルからは想像できないギャグマンガ。
ヴァンパイアハンターのヴァン・ヘルシングが、世界各地で人間を襲うヴァンパイアを倒していくという英雄譚。に見せかけたミツルギから続く河田雄志お得意の、コミュ障根暗ぼっちギャグ。
ラノベで流行ったぼっちギャグと違うのは、ちょっと業が深すぎることと、ラノベの場合には存在する救いとなるヒロインや友人やイベントが一切ないことでしょうか。
ミツルギファンなら相変わらずのノリなので楽しめること間違いなしの本作、ジャンプ漫画ということで初めて手に取った人も、なかなか他では味わえない徹底した根暗ギャグを味わってみたらいいと思います。
真面目でシリアスな世界観を保ったヴァンパイアと、コミュニケーションがぶっ壊れたヴァン・ヘルシングの掛け合いはなかなか笑えます。
友達はいないわ根暗だわ、しかも完全に自分が悪いのに全く反省するつもりがないヘルシングと、それに振り回される吸血鬼たち。人間を襲うヴァンパイアがめちゃくちゃヘルシングに振り回されて、最後には倒されてしまう残念な流れは脱力するしかないおもしろさ。

ミツルギやもぎたてアイドル人間なんかとは異なり、ボケが一人なのでめちゃくちゃ感は多少下がり気味? しかもシリーズとして展開を考えているのか、少し話に伏線があったりも。
妙にカルトな人気を出したミツルギ以来サウザーなんかも話題になってますし、ここらでアニメ化するくらい売れてほしいですね。次も楽しみにしてます。
おすすめ。
以前書いた、同じく連載中のドン・キホーテ 憂い顔の騎士の感想はこちら
以上。

2013年12月11日水曜日

漫画感想 - 極楽院櫻子 『 セキレイ 15 』 -

セキレイの最新15巻を読んだので感想を。
クライマックス突入も、微妙に不定期連載っぽい本作。前の巻はいつだったか。
結と結女が表紙。巻頭カラーの光と響が綺麗でいいですね。
で、鶺鴒計画最終戦。生き残った全ての葦牙とセキレイが神座島に集いました。
最後のバトルロイヤルを前に、色々伏線も回収され始めたり。
冒頭から佐橋と御中社長が初の直接遭遇。父親であることを知らない佐橋は、知らないまでもはっきりと父の前に自分の戦いに対する姿勢を見せます。かなり成長してますね。
でもって今回は、No.87鹿火と結と鴉羽の因縁の信実が明らかになり、ついに鴉羽と鹿火が対決します。
鹿火が葦牙と出会うまでの流れと鴉羽との対決までの流れは、佐橋たちのこれまでの流れを踏襲していて、一つの彼らがありえたかもしれない未来なわけで。より一層それが、鹿火の敗北を際立たせます。
鴉羽の戦闘狂っぷりもなかなかですが、だんだんと明らかになるのはその孤独感でしょうか。結との対決でどんな結末を迎えるのか。
皆人の下を離れた結&月海&松は瀬尾と対決します。瀬尾組がこれまでの鶺鴒計画で果たしてきた役割が明らかに。建人の遺した色々がイマイチどんな効果かわからないのが謎。
とりあえずの潰し合いを回避する策はリングアウト勝ちでしたが、これが戦況をどう左右するのか。
そして次回への引きとしては、佐橋+くーちゃん+風花+焔 対 氷峨組。そして真田組対御子上。
追い詰められた御子上と、衛星兵器の先制攻撃を食らう佐橋。
果たして、鶺鴒計画を制するのは誰か?
どんどん絵が綺麗になっていって、乳首が描かれてもあんまりエロくないですね。しかし、佐橋が男を見せた時の焔の表情はかなりよかった。
そろそろ完結ですが、結末が楽しみです。

以上。

2013年12月6日金曜日

漫画感想 - 内藤泰弘 『 血界戦線 8巻 - 幻界病棟ライゼズ - 』 -

血界戦線の最新刊8巻を読んだので感想を。
今回は、異界と人界双方の美食の粋を集めた究極のレストラン『モルツォグァッツァ』での、ライブラの面々とそのスポンサーの会食を描いた『王様のレストランの王様』と、HLに現れる幻の病院を舞台に3年前から続いたクラウスとスティーブンの血界の眷属との戦いを描いた前後編『幻界病棟ライゼズ』の三話で一冊。
一話のボリュームがけっこうありますね。
掲載雑誌の最新号までの連載分が載っているため、雑誌で読んでいる場合は本にまとめるのが早すぎる気も。

まあいつも通り面白い。当然のように面白いので、特に感想もないくらい面白かった。
長いスパンで物語を進めているタイプでもない作品なので、これまでのファンなら問題なく買いといったところでしょうか。
いつも通り、はったりを利かせた物語にしっかりたったキャラクター。さらに一発勝負のSFファンタジー諸々ごった煮のギミックと、いつもの面白さを見せてくれます。

各話の感想を。ネタバレありです。

2013年12月2日月曜日

ラノベ感想 - 石川博品 『 ヴァンパイア・サマータイム 』

ヴァンパイア・サマータイムを読んだので感想を。
現在真冬ですが、ふとお奨めされているのを見て気になったので購入。季節感まったく無視ですが気にしません。クリスマスに『夏への扉』を読んだっておもしろいものはおもしろいわけですから。
ネットでの評判を見て購入しましたが、その評判を裏切らない、なかなかよろしい恋愛ものでした。
久しぶりにいいラノベを読みました。やはり定期的に、いつも読む作者・シリーズ・ジャンルを飛び出してみないとダメですね。

さてさて、本作はラノベのラブコメには珍しく、一冊の中で恋の始まりから1段階の成就までが描かれています。
あらすじとしては、吸血鬼の女の子と人間の男の子が出会って恋する話。それだけなのにおもしろいのは、それはもう古今東西の恋愛ものがそれだけのことを盛り上げに盛り上げて一つの作品にするからですね。
くわしくあらすじを書くと、
実家でがコンビニを営む高校生ヨリマサは、今日も飲料の補充のために冷蔵スペースの裏に入り、商品を補充する。
ヨリマサはその暗い補充スペースから、いつも同じ紅茶を買っていく吸血鬼の少女を見つめていた。
その少女・綾萌とひょんなことから話すようになり、彼らの学校で起きた吸血鬼と人間の問題を解決しつつ、二人は距離を縮めていく。
吸血鬼の綾萌と人間のヨリマサの恋は、果たして実るか?

2013年11月18日月曜日

漫画感想 - 水薙竜『 ウィッチクラフトワークス 6巻 』 -


アニメ化が決定しているウィッチクラフトワークスの新刊を読んだので感想を。
火々里さんの胸と身長はどんどんでかくなっていく気がします。
今回で、前回から現れたミス・ウィークエンド(面倒なので以下、WE)との対決に決着が着きます。
WEの策に街の魔女たちがピンチに陥る中で、だんだん多華宮君の主人公度があがってきましたね。
ふわっとした絵柄の世界観にいきなり自爆上等カチコミ精神であらわれたWEでしたが、どうやら彼女が多華宮君を巡るこれまでの騒動の元凶だった様子。
かざねや姫も手玉にとり、自分の命もおとりに使う超危険な魔女でしたが、本人も言っているように、魔女としての力量的に最初から勝てる戦ではなかった感じ。
結局かざねが本気を出せば場は収められたようだし、メドゥーサも制御しきれず。クロノワールにはボロ負けですし。

多華宮君がかなり成長してきました。かっこいいシーンが増えた。
命を捨てて力をえる覚悟や、火々里さんを守るために的に立ち向かったり。
いい感じに主人公してましたね。わりと 火々里さんのキャラで間を保たせてるところが多かったので、これで多華宮君も主人公できますね。

相変わらず詳細に作者の中にある設定を作品内で細かく説明せずに、かっこいい一枚絵の連続でお話を作るのは、説明過多なのが好きな人には向かないながらも、雰囲気で漫画に惹かれるタイプの人にはたまらないの出はなかろうか。

さて、お話の中心であるところの、多華宮君と姫の関係。
そもそも多華宮君って何者なのか、とか、姫との過去に何があったのか、とか。あとエンバーミリオンってあいつなんやねん、とか。
じわじわとあかされて、なんとなく想像できる範囲になってきた感じ?

結局、最強の魔法使いである火々里さんは、多華宮君を守っていたけれど、そもそもその契約がなければ多華宮君はエンバーミリオンの莫大な力を使える、と。
守られてる多華宮君も最強ってことですかね。

一番かっこよかったのは、霞のピンチにあらわれたメデューサの登場シーンでしょうか。魔女たちの維持が見えるシーンはいいですね。

ここ最近かなりシリアスで、ケモミミたちのドタバタが恋しいですね。
と、思っていたら、次巻からまた日常回が帰ってくる様子。楽しみ。
以上。

2013年11月16日土曜日

ラノベ感想 - 秋田禎信『 魔術士オーフェンはぐれ旅 女神未来(上) 』 -


待ちに待った魔術士オーフェン新章最終巻上巻です。
私はドラマCD同梱版を買いましたが、これまでに比べるとやや微妙かな。
そして上巻ということで、これまでに比べてかなり薄め。となれば高いなーと思ってしまう。
上下分けということで、下巻はどんな厚さになるのでしょうか。
最終巻上下巻ということで、前のシリーズとかぶりますが、別に意識してやったわけでもないようす。
さて、内容の感想を。
散々文句を言いましたが、内容は間違いなくこれまで同様素晴らしい。
内容はと言えば、前の巻のラストでの、アイルマンカー結界の崩壊とリベレーターの敗北、そしてついに進撃を開始したカーロッタ一派、といった最終決戦。
なんとなく、話の内容的には、ネットで見た他の感想にもありましたが、今回が鋏の託宣と言えそうな巻。
ネタバレ前提の感想ですので、未読の方はご注意下さい。

2013年11月2日土曜日

雑記 舞台感想 ナイロン100℃ 百年の秘密

少し前にフジテレビNEXTで放映したモノを録画したモノが大掃除をしたら出てきたので視聴。
スケジュール的に今年はもう観劇にいけそうもないので、記念にブログに書いておく。

  • OPのかっこよさが素晴らしい。
    • 映画やドラマ的なOPとか、映像を投射する演出を舞台上でやるのは、否応なくわくわくするので大好き。
  • 演出は見事としかいいようがない。
    • 混乱しやすい時間軸が動き、家の外と中が入れ替わる構造でも、きちんと話が追えるようにできているのは、脚本というより演出の妙なのだろうと思う。
  • 舞台をスクリーンに見立てるのはすごい。投射する映像が陳腐にならないのも。
  • セットも豪華。両側にスリットがあるお屋敷の庭と、その中に並ぶイスとテーブルと暖炉。
  • 二人の女性の数奇な運命。
    • これは、女性同士というなんとも言えない関係だからこそなのだろうけど、その実、ドラマを起こしているのは女同士の友情とも愛情ともつかない距離感というより、他の登場人物含めた全てとの相関関係だったと思う。
    • だからある意味、別に周囲のキャラの性別を変えれば、男同士でも成立しないことはない気もする。
    • 女性の複雑さ、というより、人間の複雑さというか。
  • お父さんと息子の関係が、セールスマンの死にそっくりだった。あれはフットボールだったと思うけれど。
    • 名作だから踏襲してもいいのかもしれないけれど、それがひっかかってしまった。
    • 作者が別に踏襲したつもりはなくても、自分の頭の中に物語が残っていると、それがフックになってひっかかりをつくってしまうのは、いかんともしがたい観る側の未熟さか。
    • と思ったら完全にセールスマンの死だった。
  • 浮気の連鎖ってのは女性を長いスパンで描くならよくある話
    • 女性を描く上でのほかの手段ってないんだろうか
    • 悪い言い方をすればセックスと恋愛に子供といった副産物が産まれるから、女性がメインになると
    • しかし、女性同士をメインにすると、こんな筋のドラマばっかりな気がする。
    • 何度ドラマで女性は寂しかったからっつー理由でセックスして、一夜の過ちで父親のあいまいな子供を創るのだろう?
    • ある種それは、男女どちらもが思う、同性異性を単純化した姿なのだろう。
      • だから、共感はできなくとも、わかってしまうドラマになるのかもしれない、と思ったり。
    • こういったドラマを見ると、男も女も単純で、人間なんてものは数種類に分類できてしまうというのが、よくわかりますね。
      • 普遍的な人間のドラマや悲劇に現れる人間は、男女ともにパターンがない。
      • 個性とは、別の話で.
  • メイド役の人が大忙し
  • 長い時間を経た因果応報の連続
    • 一つずつの選択が別の結果につながり、悲劇
    • 無関心とプライドと自分勝手が起こすのは見ていられない。
  • 救いを得られそうもない奴が救いなく終わるのは、綺麗にはいられない現実の人間には突き刺さるしかない。
    • でも、舞台はテレビのバラエティではないから、例えコメディでも、人の胸に突き刺さるものでないとならないと思うので、これこそが正しい舞台なのだろう。
      • チケットも高いしね。
  • 役者は誰もいい感じ。メジャーな役者だらけの安定感。
    • つくづく、舞台役者は役者のカラーが濃くて、客演の人たちもホームと同じような個性を発揮していて素晴らしいと思う。
  • そして人生は続く、といった風情のラストシーン。
    • いいことがあって終わるなんてことも、悪いことがあって終わるってのも、人生ではなくて、死ぬまで色々つづけながら進み続けないとならない。
  • いい舞台だった。

漫画感想 - 城平京・左有秀・彩崎廉 『絶園のテンペスト 特別編 最終回 閉幕・手を』 -


絶園のテンペストの特別編の第六回、ついに特別編の最終回です。
世界をかけた戦いの結末後の世界を半年も連載するのは珍しいと思いますが、一冊かけてここに完結しました。淋しいですが、これでまた次の作品に出会えると思えば楽しみでもあります。
城平京さんの次の作品も楽しみです。
ちなみに、第六回はこちら。第四回はこちら。第三回の感想はこちら。第二回の感想はこちら。第一回の感想はこちらです。
最終回、閉幕・手を ということで、いいタイトルです。
タイトルのつけかたも好みです。

2013年10月31日木曜日

三行感想文 『魔術士オーフェンはぐれ旅 女神未来(上)』『妖狐×僕SS (10)』

 
オーフェン最終巻上巻。これで終わりと思うと寂しい。しかし分冊のせいか薄い。ドラマCDはそれほどよくなかった。高いかな。
色々いい感じの台詞もありつつ、これで終わるのか?と思わざるを得ない。それは2部の
終わりもそうだったけれど。
あとでしっかり感想を書こうと思う。
 
いぬぼくの最新刊。突然やたら暗い物語りになってから少し経って、皆が希望を見出しはじめた感じ。
カルタがかわいくて、渡狸が頑張った。それぞれのパートナーとの絆が光っていたのが好印象。のばら組の関係性が好き。
黒幕っぽいのが判明したけれど、さほど意外でもなく。もう一転くらいあるのか?
蜻蛉は死にすぎだな。

2013年10月30日水曜日

ラノベ感想 - 松智洋 『パパのいうことを聞きなさい! 14』 -

今月はオーフェンの限定版を買ったり色々発売が重なって、金欠もいいところなんですが、見事に出費が重なる用事があってどうにもこうにも。11月はろくな生活ができそうにない。
さて、至極どうでもいいことをわきに置いて、パパ聞きの最新刊を読んだので感想を。
話の展開的にネタバレを回避できないので、未読の方はご注意を。

前回倒れた祐太。やっと回復してもとの生活に戻り、幸せな風景が戻ってくると思いきや・・・
さて、両親を失った幼い三姉妹と姉を失った大学生の共同生活という重たい設定を背景に時に気楽に時に重たく、家族と恋愛を行き来していた本作ですが、今回はついに訪れた重たい喪失のお話でした。
表紙と帯の文言からわかるように、ついに忠犬・ジュウベエがその生涯を終えました。
もちろん、ジュウベエ登場から、誰もがわかっていた展開ですが。老犬を両親を失ったことが理解できていないひなにあてがう趣味の悪さは端からわかった上で進んできた話ですが、ここ数巻だんだんとジュウベエが弱っていくのが描写されていた分、彼の死は重くのしかかります。
頭から最後まで、おふざけがほとんどなく、ただジュウベエとの別れが描かれたのはシリーズとしては異色でしたが、その分、物語がしっかり前へ進んだことがわかってぐっときました。

愛犬の死に触れて、変化したのはひなだけでなく、これまで親を自称していたものの子供に過ぎなかった祐太は自分の無力さを自覚して一歩前へ。莱香もまた、自分の思いを抱えて一つ変わりました。長期作品&次が出せる前提で描かれる物語は、このあたり丁寧でいいですね。

ジュウベエの死に触れて、ついに両親が亡くなったことに気付いたひなは、本当に聡明で、だからこそ彼女が悲しい。
佐古先輩が役に立ったのはよかった。彼、ただの変質者として扱われすぎていましたからね。
ラストの見開き絵は、なんとも今後の展開を予見させていて、胸にくるものがあります。
さてさて、サーシャとの同居話に祐太の成人と、問題は山積み、どうなるのでしょうか?
次も楽しみです。

2013年10月26日土曜日

漫画感想 - 水無月すう 『そらのおとしもの 18』 -


そらのおとしものの最新刊18巻を読みましたので感想を。
来年映画がやるようで。内容がどうなるか気になるところ。続きをやるんでしょうか?
ギャグとシリアスのふり幅から両方がくっつきはじめてきな臭くなってきた前巻。
案の定というかなんというか、かなり重い展開になってきました。
風音の前に現れたカオス、自分の感情が理解できず、何もわからずに暴走するカオスは果たしてどうするのか? ということろからの続き。
わたしの救世主さまといいJUDASといい、この作者は世界の滅亡が好きですね。
今回はほとんどギャグもなく、終始シリアスで進行し、ついには物語の根幹にかかわる重大な展開を迎えてしまいます。
純真無垢でありながら凶悪な力を与えられ、周囲に振り回される過酷な運命に置かれたカオスの悲劇がさらなる悲劇を生み、最悪の結末へと進んでいきます。
それはこれまでのほかのエンジェロイドの悲劇のように、智樹の優しさで救われるはずのモノでしたが、他のヒロインたちと違い、カオスが何も知らない子供であるために悲劇を回避できませんでした。
以下ネタバレだらけなので、未読のかたは気を付けてください。

2013年10月17日木曜日

漫画感想 - ヤスダスズヒト 『夜桜四重奏 14』 -


夜桜四重奏の最新刊を読んだので感想を。
アニメが放送中ですが、評判はどうなんでしょう。録画はしているものの、まだ見れていません。キャラデザがずいぶん原作とは違う個性で気になるところ。
鬼の桃華を狙った伊予紫や妖刀つかいの入鹿の問題を解決した前回、今回は前半は水着回、後半は七郷の信実に迫る謎が現れ、さらには円神が事を起こす期日が明かされたりと話の転機になる一冊でした。

相変わらず絵がいいですね。前半の水着回、女性キャラがほぼ水着になって出てきますが、すごくいい。
秋名に、こっそり買った水着をほめられてデレるヒメが可愛いですね。
でもって、外からやってきた狐の神様、巴の介入によって七郷をめぐる物語も少しだけ前へ進みます。
膨大なデータを観測できるからこそ、正確な未来を導き出すことができてしまう神様が七郷をめぐる戦いには多くかかわろうとしないのにはなにか理由があるのでしょうか?
巴によって知らされた円神が動き出す日、そこへ向けて加速する中で、秋名には重たい枷がはめられてしまいます。
アオのこともあり、秋名はどうなるのでしょうか?
さらには七郷に隠された過去の因縁の正体を追うヒントが明かされました。当時の比泉宗家が何をしたのか? 悪者っぽいですが、果たしてどうか。こういうのは二転三転してこそですからね。
巴や雄飛の言う、本当の悪とはなんなのか?
そして最後に現れた、アオに突きつけられる事実。果たして、どんな悲劇がまっていることやら。
彼らなら幸せな結末を起こしてくれると信じていますが。
シリアスとは別に、桃華と紫の関係もなかなか気になるところ。

相変わらず女の子はかわいいし、一冊で一つの区切りをつけてくれるので読んでいて楽しいところ。次も楽しみです。
以上。

2013年10月15日火曜日

漫画感想 - 行徒・河田雄志 『ドン・キホーテ1 憂い顔の騎士 その愛』

作画・行徒 原作・河田雄志のドン・キホーテを読んだので感想を。
先月発売されていたそうですが、見つからずに最近ようやくでかい本屋で見つけました。
学園革命伝ミツルギでカルトな人気を得て、さらに最近では北斗の拳のハート様の外伝や聖帝サウザーのパロディギャグ漫画で話題を得て、もぎたてアイドル人間で特に話題にならなかった黄金コンビの新作です。
タイトルの通り、原作はセルバンテスのドン・キホーテ。ラ・マンチャの男です。聖書レベルで発行されている伝説的な小説を原作にして、すわ一時流行った世界の名作のコミカライズかと思いきや、やはりこの二人が描く漫画、ただそれを下敷きにしただけのギャグマンガ。
文学性も教訓も時代性も全部捨てています。原作の看板がただのギャグの一つになっている。
元々原作が時代錯誤の騎士がロバとおっさんと一緒に風車と闘ったりする奇妙な話。もちろん寓意があるわけですが。ギャグにしようと思えば下地はあるわけですね。

内容はドン・キホーテこと田舎貴族のアロンソ・キハーノが美少年の従者サンチョと旅をするモノ。
もちろんこの二人が描くキャラですから、まともな人間であるはずがない。
アロンソはミツルギの中二階堂がそのまま大人になったような、人見知りの癖に寂しがりやででかいことは言うが情けない、夢ばかり見ているバカな中年です。
サンチョはこれまたミツルギの会計ポジション。性格もよく器用なのに運がない。
アロンソはいい年して友人もなく、騎士に憧れる困った大人。
モンスターを倒してお姫様に認めてもらい騎士になる予定で旅に出るも、人に話しかけるのもダメな人見知りで、ガラスのハートは一人旅には耐えられない。
仕様がないのでサンチョがついていったら、行く先々で問題を起こしてしまう。しかし根はいい人なのでなんとかなったりサンチョも見捨てきれなかったり。
一番笑ったのは『私は人見知りで一人だが、かといって一人が好きなわけじゃない』と『次に私を見捨てたらダイイングメッセージにお前の名前を残してすごい死に方する』ですかね。

とにかくひたすらバカで笑えます。
作者が自分で書いていましたが、これまでの作品に比べてギャグが減り、代わりにストーリーが全くなかった状態からストーリーがあるようなないような状態に変化。
一応原作もあるので、物語として進んでいくのかな?

とにかく力を抜いて笑いたい、文字の多いギャグ漫画が嫌いじゃない人におすすめの一冊。
面白いですよ。
以上。

2013年10月9日水曜日

小説感想 - 河野裕 『つれづれ、北野坂探偵舎 心理描写が足りてない』

 サクラダリセット、ベイビー・グッドモーニングの作者河野裕先生の新作、つれづれ、北野坂探偵舎を読みましたので感想を。
これまで作品を発表していた角川スニーカーから角川文庫へ変えての出版。
まあ、メディアワークス文庫を例に出すまでもなく、ラノベ作家がキャラの年齢が変った程度の作風の変化でラノベレーベル外から本を出すのはよくあることです。
さて作品は、神戸北野坂にあると喫茶店『徒然珈琲』のオーナーで元編集者の佐々波と、徒然珈琲で執筆する作家の雨坂の二人が、持ち込まれた事件を解決する謎解きもの。
カフェものってのも最近流行りましたし、ライトなミステリものも流行してますね。
謎解きといっても殺人が起こるわけではなく、彼らが解決するのは、幽霊にまつわる事件。
この巻では、小学校の頃読んだタイトルのわからない本を探してほしいと依頼した女子高生・小暮井ユキの依頼をきっかけに、彼女がかつて小学生のとき短い時間を共に過ごし幼くして亡くなった友人の幽霊の物語へと発展していきます。

2013年9月29日日曜日

映画感想 風立ちぬ 宮崎駿


今更風立ちぬを観た。
今月は舞台にいく予定もなかったのと、無性に映画館に行きたくなったため、さて何を観ようかと考えた。
パシフィック・リムは近所では終わっていたので、気になっていた風立ちぬを。
ジブリを映画館で観たのはいつ以来か。ハウル以来かな?
映画館で映画を観ると、家やテレビで観るのと違ってなんでも面白く思えてしまうのだけど、風立ちぬはとても面白かった。
というか、ジブリは(というか宮崎駿は)どこを観ても批判が多いのだけれど、ポニョ以外はどれも楽しめていたので期待していた。
期待を裏切らないどころか、ずいぶん好みだった。
戦闘機の設計士の映画だとか、子供向きのいわゆるジブリっぽさとは無縁だとか聞いていたのだけど、かなり恋愛映画の部分が多かったように思えた。
もちろん、健気で無垢でただただ懸命に尽くしてくれる美少女ってのは恋愛映画のヒロインとしては二流なのかもしれないけれど。
堀越二郎氏と堀辰雄氏のことは全く知らず、原作も知らない中で観たので、そちらとどう関連しているのかはわからない。
しかし結局、本筋は二郎が夢を追い続ける話なんじゃないかと思って観ていたのであまり気にならなかった。
夢と現実が入交る構成だったけれど、二郎視点で描かれている上、二郎にとって重要なのは常に飛行機の設計であるため、虚構と現実の区別はさほど重要ではないのかわかりにくさはなかった。

少し不親切というか、説明しすぎないあたりがゆるーく家族で映画を観たいって人には向いていない気もする。テーマも夢を追いかける男の話だし。子供連れには全く向いていないってのはわかる。ポニョとかみたいなかわいげはない。
でも、作画は当然さすがのジブリだから、画面をぼんやり観るだけで楽しめると思うのだけど。

史実の人物+出来事を追う割に、ファンタジーな部分が多く目についていたのは少し残念だった。飛行機とか、二郎の頭の中のモノは全部史実のもののがよかったんじゃないか。

アニメばっか観ている人間なので、当然主人公の声は気になってしまったが、キャラには合っていると思った。しかし、感情が揺れるシーンはどうしても芝居ができていないなと思えてしまう。
アニメや吹き替えのオーバーアクトな声優演技では出せないモノがあることは、ほかのキャラクタの声を聴けばわかるけれど、しかしひどすぎる部分もあった。人間っぽさがないシーンとか。
朴訥としていいシーンもあったけど。
野村萬斎はよかった。

カプローニの台詞がいくつか心に残っているが、同時に、彼が夢を追うことと人生で設計士として使える時間の意味などを語る中で、最後にヒロインが生きてと言ってしまうのはちょっとくどい気がした。
結局二郎が夢を追うだけの映画なので、ヒロインとの日々も、カプローニとの会話も、すべて二郎のエゴの中にあることなのだろうから、そのセリフも必要なんだろうけど。
それと、あんまりにも願望の描写のようなヒロインとの恋愛は反発を生むのだろうけど、それは二郎の上司の黒川さんがエゴだといっているし、彼の性格を偽善だと断じるシーンもある。
人間だもの、エゴの中で恋愛を取ろうとしたらそういう選択になって、それに殉じてくれるヒロインがいると、それもまた夢を追うことを目指し続ける人間を描くための装置なんだろう。
あれって、美少女もの好きのオタクの妄想みたいなヒロインだよな、と思った。賛同は得られないだろうけど。

個人的に一番よかったのは避暑地でのシーン。
ヒロインとの再会よりも、もりもりとクレソンを食べるカストルプさんとの会話が。彼って結局、反ナチスのドイツ人スパイってことだったのかな?
ずっと二郎の前に現れて彼の道をつくっていくカプローニはなんだか怖い。彼に正当性を与えるようなセリフが、なんだか悪意のない悪魔的な。

いつも通り

とにかく面白かった。


2013年9月23日月曜日

漫画感想 - 城平京・左有秀・彩崎廉 『絶園のテンペスト 特別編 第5回 待つ女』 -

ガンガンは城平京を楽しみに読んでいますが、屍姫なんかも楽しみです。エロ漫画みたいな絵ですし、話もラスボスが出てからかなり右往左往していますが、なんだかおっかけたい魅力がありますね。先月から、赤紗が悲惨すぎて涙涙。そして今回の彼の結末やロギアのセリフは胸にくるものがありました。そしてそろそろ、マテリアル・パズルが復活してくれないかな、と。一方2Pギャグはここ半年くらいなんだか安い萌え四コマみたいなつまらないものばっかりですね。
君と僕と怪獣家族が戦ってたころのがよかった気がします。

では、テンペストの特別編。すでに第五回。単行本一冊くらいで終わるんでしょうか。
ちなみに、第四回はこちら。第三回の感想はこちら。第二回の感想はこちら。第一回の感想はこちらです。(追記)第六回・最終回はこちら

今回の主役は、絶園の魔法遣いの代理・羽村めぐむの恋人・桜子。
絶園の木による破壊が起きて、羽村をふって一時別れた後のお話。

衝動的にめぐむをふってしまい、もやもやした日々を過ごす桜子の前に現れた、絶園の木を見上げる一人の女の話。彼女は木によって夫を失い、彼との日々を思って毎日絶園の木を見上げているのだという・・・
といったお話。今回は、本編では描かれきれなかった、羽村のいろいろがちらりと描かれる特別編でした。彼もまた少し成長して、ささやかながら得るモノがあったというお話。

絶園の木を見上げる女の話は、かなりベタで、ネットで転がっている怖い話みたいな感じでイマイチ。
桜子のキャラはいいですね。城平作品はわりとこういったギャップのあるカップル多い気がします。似たもの夫婦、みたいなのよりボケツッコミというか、対照的な二人が並ぶことのほうが多い気がする。
巻き込まれた灰村が、それでも戦うことで得られた幸せは、過酷な運命ぞろいのキャラの中に放り込まれた普通人にとって非常な幸いであったと思います。
さてあと何回なのか? どんな結末を迎えるのか、楽しみにしています。

ラノベ感想 - 上遠野浩平 『ブギーポップ・ウィズイン さびまみれのバビロン』


読書速度をあげたい日々。blogの更新も非常にゆったりです。
発売日から二週間ほどたって感想を上げるわけで、アクセス数は期待できません。まあ、こんな場末の感想ブログで稼げるはずもないのでいいのですが。
さて、久しぶりのブギーポップシリーズを読みましたので感想を。

いつ以来で累計何冊目かよく覚えていませんが、ブギーポップ最新作。
俺妹とか、そのあたりのシリーズはかなりの巻数を一気に出して終わったりして、一方でこういった十年以上前のシリーズは(キノの旅とか)いまだに終わらずゆったりペースで進んで未だに終わりが見えません。始まった当時学生で、物語の主人公とリンクしていた人たちも、まだ作品世界から抜け出せないまま。上遠野浩平もイマジネーターみたいなものですね。
さて最新作の今作は、時間軸的にはビートのディシプリンの前半あたり。舞台はいつもの、藤花や末真たちの高校とその街。
今作は、シリーズ最大の重要キャラにしてブギーポップの大敵、”イマジネーター”水乃星透子。世界の敵・早乙女正美。さらにはユージンまで登場と、懐かしの重要キャラがちらちらと顔を見せてくれる巻でした。
そのうえ、今回の霧間誠一やみなもと雫ポジションは、ペイパーカットシリーズの早見壬敦。
ずっと謎で、これからも描かれることはないかもしれない、水乃星とブギーポップの対決の姿がまたぼんやりと描かれました。
話は記憶を失った明日那と、統和機構の合成人間の成城、ブギーポップに憧れる少女・狭間の三人が中心になって、失われた明日那の記憶と、彼女たちを狙う謎のゾンビの正体を追っていくストーリー。
なつかしのキャラに、さらにナイトウォッチシリーズで登場した、水乃星の残留思念としてロリ水乃星まで登場と豪華。
世界が忘れ去ろうとする強力な流れの中で、それでも世界の中に残り続ける水乃星のすごさがわかりますね。彼女の物語が語られたのは、なんだかシリーズの結末の欠片が見えたような気がします。まあ、ストレンジが書かれることは当分なさそうですが。

いつも通り上質なジュブナイルで、さらにささやかなミステリ調でもあって、相変わらずの上遠野節で面白かったです。
水乃星透子がかつて何をしようとしていたか、そして彼女の信奉者たちが何をしていたのか。そして世界の敵となって散っていった水乃星が残した影響はなんだったのか?
忘却をテーマにした物語でしたが、一方で水乃星の残した影響や彼女が話す夢や忘却、そして世界の敵についての話は、ブギーポップシリーズ全体の根っこに関わる話だった気がします。
ラストシーンの切なさは、上遠野先生らしい、非常に上質なジュブナイルでした。いいラストシーン。

シリーズも膨大になり、本筋のブギーポップ以外が広がっていった結果、果たして上遠野先生のキャリアの最後までにこのシリーズは終わることがあるのだろうかと思ってしまいます。
エンブリオあたりから始まったバトルものの空気からここ数年の初期の空気感がまざって落ち着いている気がします。各巻でしっかり一つの物語としてまとまっているため、逆にシリーズとして追いかけるだけの吸引力にはかけますよね。
作家としての魅力でシリーズ全部追いかけてしまうので関係ありませんが。

今回は統和機構の側のストーリーがなかったのが残念。ですが、最近こっちは他シリーズでやってますからね。
はたしてこれからどう転がっていくのか、ずっと楽しみにしています。

2013年9月14日土曜日

ラノベ感想 - 川上・稔 『境界線上のホライゾン Ⅵ 6 下 』 -


境界線上のホライゾン6巻下を読みましたので感想を。
ちなみに中巻はこちら、上巻はこちらで感想を書いています。また、カテゴリ『川上稔』でほかの巻も。よろしければ。

武蔵臨時代表 松平・督姫

福島・正則が表紙の下巻。髪に挿した青い羽根を読了後見ると涙が出ますね。
今回も、1000ページ超えにもかかわらず展開がぎっしりつまった鬼のような仕様です。
巴里を水攻めし、水没させることでパリを羽柴の大返しの舞台とすることをもくろむ羽柴に、マクデブルクの遺恨を晴らすため立ちふさがる太陽王は、新時代の新戦略をもって対抗した。
武神と新戦術をもって羽柴に対抗する巴里は、羽柴の包囲との間で硬直状態が続いていた。
一方、対戦形式をメンバーで自由に決めていい小田原征伐では、各国3名ずつ出場生徒を選び派遣した。関東解放をみこして主力を温存したい武蔵は、大久保を派遣。そして六護式仏蘭西代表の人狼女王の前に、ハッサンが立ちはだかった!
といった中巻を経て、今回もひたすら盛りだくさんの下巻。
1000ページ強をついやして、まだ関東編が終わらず、今回は小田原征伐の終了まででした。
ネタバレを回避して感想を書くのも難しいのでネタバレ全開で感想を書きます。未読の方はご注意
を。
今回もめちゃくちゃ面白かった。

2013年9月13日金曜日

ラノベ感想 - 野村美月 『花散里 ヒカルが地球にいたころ 8 』 -


ヒカルが地球にいたころの最新刊(第8巻)を読んだので感想を。

前の巻でついに母親との別れを経験し、トラウマを一つ乗り越えた是光。一方、ヒカルの最愛についても事実が明らかにされていく中での第8巻。
―――もし十年後、葵さんの隣にいるのがきみだったとしても、ぼくは空の向こうからきみたちを愛しているよ。
母との別れを隣で支えてくれた葵を意識してしまう是光。ヒカルもまた、死んだ身として葵と是光の関係を見守るものの、ヒカルの友人であることを大切に思う是光は葵へ抱く気持ちを認めまいとしてしまう。
ぎくしゃくする葵やヒカルとの関係の中で是光が悩む中、文化祭が始まろうとしていた。

今回もまた、文句なく面白い。今回はヒカルの最愛をめぐる話というより、是光の成長を描いた一冊でした。あとがきによればすでに最終巻まで書きあがっているらしく、あと二冊でこのシリーズも終わりとのこと。さみしいですが、どんな素晴らしい結末が描かれるのか楽しみでもあります。

2013年9月10日火曜日

ラノベ感想 - 秋田禎信 『巡ル結魂者 1』 -

秋田禎信の純粋な新作はいつ以来でしょう? ハンターダーク以来?
今月はなんと、秋田禎信の新作にブギーポップの新作まで読めてしまう。さらに来月はオーフェンの最終巻、女神未来の上巻が発売されます(限定版と通常版の発売日がamazonで同じになっていますが、本当なのか)。
しかも神坂一先生とのシェア・キャラクター作品も発売予定と、往年のラノベファンの胸に刺さる面子が並んでいます。

さて、久方ぶりの秋田禎信完全新作。講談社ラノベ文庫から、ということで、実にラノベの空気感をよくまとった作品でした。
なんだか、正統派のラノベの一巻ってこんな感じだよな、といった一巻目。
やや古めのライトノベルの王道的な第一巻でした。ゼロの使い魔とか、あの頃のラノベの空気感が近いかも。 当然、秋田禎信のエッセンスは多分にもりこまれていますが。

あらすじは、主人公・高城航斗(カズト)は、異世界に呼び出される。異世界では、リンカという魔法技術を持つ少女たちのいる世界だった。本来女性以外がなることの禁じられるリンカになってしまったカズトは、唯一の男のリンカとして、女性のみのリンカ学校で日々を過ごすことになる、といったう、由緒正しい異世界もの

2013年8月22日木曜日

漫画感想 - 城平京・左有秀・彩崎廉 『絶園のテンペスト 特別編 第4回 左門さんのその日のその日』 -

発売から丸10日たってしまいましたが、ガンガン連載、絶園のテンペスト特別編第四回の感想を。
本誌ではついにソウルイーターが終わりました。最近、ガンガンよりガンガンオンラインのほうが追っている連載が増えてきた気がします。

ちなみに、第三回の感想はこちら。第二回の感想はこちら。第一回の感想はこちらです。
第5回はこちら(追記)。(追記)第六回・最終回はこちら

雑誌連載のため、そして話が後日談のため、本編のネタバレ及び未単行本化部分のネタバレとなっています。コミックス派の方はその辺りをご注意。

2013年8月20日火曜日

ラノベ感想 - 上遠野浩平 『恥知らずのパープルヘイズ』 -


これは、一歩を踏み出せない者たちの物語
上遠野浩平 VS GIOGIO!!
ラノベが現在の形になるきっかけの一人、ラノベの歴史の重要人物である上遠野浩平と、すべてのバトル漫画に影響を与えているといっても過言ではないジョジョとの対決ということで、これは読まねばなるまいと思いつつ黄金の風を未読だったため放置していました。
で、ようやく第五部を読み、恥知らずのパープルヘイズも読んだため 感想を。
第五部はジョジョでもトップで好きな部です。ラスボスがしょぼいとか、色々批判もあるようですが、一つの映画のような、一貫して主人公の行動を追っていくストーリーが非常に好みで、男たちの成長が非常に胸を熱くしてくれます。何より一つに絞られたテーマの上でまっすぐ進む物語は、いやおうなく心をふるわせますね。

でもって、本作、恥知らずのパープルヘイズですが、主人公はパンナコッタ・フーゴ。
猛毒の殺人ウイルスをまき散らすというとても主人公側とは思えない凶悪なスタンドの持ち主でありながら、たった一回の戦闘を最後に作品から退場し、それ以降最後まで(回想以外)登場しない不遇のキャラクタです。
しかし、ジョジ五部の公式スピンオフで五部の後日談を描くとすれば、こんなにふさわしいキャラもいません。
かつての仲間であり、そして裏切り者であるという特異な位置は、読んだ人誰もが気になる「お話のその後」を明かす役としてぴったりです。

あらすじ
第五部終了後。ディアボロを倒し、パッショーネを掌握したジョルノ。表向きは、ジョルノは初めから組織のボスであり、理由あって姿を現さなかったが内部抗争が起きたため表舞台に現れた、ということになっている。
しかしそれが嘘であることを知るフーゴは、ジョルノを裏切った恥知らずとして蔑まれていた。そんなある日、組織の幹部となったグイード・ミスタと対面する。ミスタはフーゴに一つの証明を迫る、組織に対して忠誠を誓っていることを示すことを。
フーゴはミスタの連れてきた組織のスタンド使い、シーラ・Eとカンノーロ・ムーロロの二人とともに、ディアボロの負の遺産である麻薬チームの壊滅を依頼される。組織への忠誠を示すため、フーゴは二人とともに麻薬チームを追う。
さて、以下は結末まで触れるためネタバレにご注意を。

2013年8月10日土曜日

ラノベ感想 - 秋田禎信 『魔術士オーフェンはぐれ旅 鋏の託宣』 -

そろそろ来る女神未来に向けて準備をしなくてはならないと思い、再読。
九月から読み返そうかと思いましたが、八月末には講談社ラノベ文庫から秋田禎信の新作『巡ル結魂者1 (講談社ラノベ文庫)』が出るので。

原大陸にアイルマンカー結界が現れ、カーロッタはついにオーフェンとの決戦を選択。そしてついに再度巨人種族を見捨てることにしたスウェーデンボリー。カーロッタと原大陸の貴族共産会との両者との戦いの中で、オーフェンは、そしてマヨールは否応なく世界の終局と対決する。

激化する戦いの中で、もはや避けきれない破局に突入してしまったオーフェン含め、かつてのはぐれ旅の登場人物たちが悲しい。
まして無謀編でバカやってたキャラクタたちがそれぞれ責任のある、原大陸社会の基盤をなす立場になってしまい、それぞれかつてからは想像できない人物になってしまっていることも、作品内で二十年以上の月日が経ってしまっていることを感じさせます。
血みどろで立っているのが主人公の条件と、かつてあとがきにありましたが、もうどれだけ血を流せばいいのやら。
でもって、逆に現在を代表する、今の世代のキャラクタたちは確かな成長を重ねています。このあたり、キリランシェロからオーフェンへそしてマヨールたちへと伝わる意思が感じられていいですね。ジョジョ的な、意志の受け継ぎ。長いシリーズだからこそできることですが。

新しいシリーズの顕著な点は、はぐれ旅と無謀編がミックスされたようなキャラ描写でしょうか。
バンドマスター鬼、とか。ジェイコブズあたりは特に顕著ですが、かつてのドラゴンマガジンにありがちだった、ギャグとシリアスの明確な分離というのがなくなり、エンジェルハウリングのような世界観になり、ベティあたりを経てこうなったとしたら、長く時を経てからの新シリーズというのもいいものですね。
そらのおとしものあたりがシリアスとギャグがぐちゃぐちゃな、かつてのガンガン系の匂いをいまだ引き摺る作品だと思いますが、これはまあ、例えばジェイコブズなんか、ふざけ倒している姿が物語の空気を換えるギャグシーンであると同時に彼の持つ世界観の描写にもなるという、これって恐らく並の技量ではできないことなのでしょう。

さて、長くなりましたが作品内の感想へ。

2013年8月6日火曜日

ラノベ感想 安井健太郎『アーク9 2 セフィロトの魔導士 (上)』



アーク9の第二巻を読みましたので感想を。
久しぶりに読書の記録をblogにあげられて幸い。先月はホライゾンくらいしか読めませんでした。脳の仕様が変わったのか、まったく文字が頭に入りません。

ラグナロクの安井健太郎ついに復活、といった(ごく一部の、歳をとりはじめた)ラノベファンの間で話題となった新作の続編です。
きちんとでて何より。
アニメと安井先生のインタビューの入った特典BDがついた特別仕様も販売されていましたが、私は経済的な理由で通常版をチョイス。

物語は前回から続き、またも大きな力の陰謀に巻き込まれる縁を追う物語と、縁の過去、幸せな仲間がいた時間を平行して進んでいきます。
縁の過去に何があったのか?
現在の縁には一つの依頼が。それは 、物質の消滅・再生を自在に行う超能力をもつ少女・アンジェラの護衛依頼。調べるうちに、縁はアンジェラを追う魔導士がかつての親友・ノエルであることを知る。

さて内容はと言えば、まったく相変わらずの安井節といえばいいのか、ハードでしかし軽妙な、堅実な物語が展開されています。
ラグナロクにあったような、どうしようもない運命に翻弄される男たちの生き様が、隙なく固められた物語の中で見えてきました。
いやはやおもしろい。これが初期の角川スニーカーを、ラノベというジャンルを支えていた一つの力ですね。
 以下ネタバレありますので未読の方はご注意を

あっさりとレベッカの変異がはじまり衝撃。彼女、どうなってしまうのか。
人間で無くなっていくなかで、それでも強く縁を思うレベッカの強さは、救いがない方向へ進んでいくこの物語の中で数少ない明るい要素です。
かつての親友との幸せな時間の中で、どうしようもない大きな力に 翻弄される縁とノエル。
強力な魔術の素養を持つが故に、決して魔術結社から逃れられないノエル。ついにノエルと縁がともにいたチームは、皆殺しになってしまう。まだ一人生きているけれど。
ノエルと縁、二人の親友が引き裂かれて憎悪を抱き合うさまは、ラグナロクの空気感がありありと浮かびます。
前回の対戦相手はサイボーグと怪物、今回は魔導士です。
物質喪失能力を持つ少女を狙う目的、世界を守るために築かれた壁の消失を願う物、そして研究所に置かれた謎の龍頭人の姿。
変異とは、その世界とは何か? 暗躍する謎の人物たち、増え続ける謎 、激化する戦闘、悲劇へ進む状況。
作者の確かな技術で作られた、最高のライトノベルです。おすすめ。

次巻も楽しみ。願わくば今回は、完結まで描かれますように。
以上。